The 2022 SSJ Fall Meeting

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Poster session (3rd Day)

Regular session » S09. Statistical seismology and underlying physical processes

[S09P] AM-P

Wed. Oct 26, 2022 9:30 AM - 12:00 PM ROOM P-1 (10th floor (Conference Room 1010-1070))

9:30 AM - 12:00 PM

[S09P-19] Determination of the focal mechanism solution of swarm earthquakes in the northeastern Noto Peninsula

*Sayaka Takano1, Yoshihiro Hiramatsu1 (1. Kanazawa University)

1.はじめに  
 能登半島北東部に位置する珠洲市周辺では地震が2018年6月頃から増え始め、2020年12月以降は地震活動が活発化するとともに非定常地殻変動も観測されている。この群発地震活動の震源域は4つのクラスターを形成しており、地震活動は南部から始まり、その後、西部、北部、東部と活動域が広がり、2022年6月19日には最大規模となるマグニチュード5.4の地震が東部のクラスターで発生している。非定常地殻変動や震源移動、比抵抗構造の解析結果からこの群発地震活動に流体が関与している可能性が指摘されている(e.g. 地震調査委員会, 2022)。断層面への流体移動が地震活動を励起すると、広域応力場と整合的ではない地震メカニズム解が観測されることがある。本研究では、能登半島北東部で発生した地震の震源メカニズム解について報告する。
2.データおよび手法
 気象庁一元化震源データにおいて、2020年12月以降に珠洲市周辺で発生したマグニチュード3以上の地震を解析対象とした。ただし、2020年12月から2021年3月の間はこの条件を満たす地震が少ないため、マグニチュード2.5-3の地震も解析対象とした。WINシステム(卜部・束田, 1992)を使用して、P波とS波の到着時、P波の初動極性と最大振幅を再験測し、震源位置と震源メカニズム解を決定した。震源決定にはhypomhプログラム(Hirata and Matsu'ura, 1987)を使用し、速度構造は竹内(1978)のモデルを使用した。P波の初動極性を用いた震源メカニズムの決定にはMaeda(1992)のプログラムを使用し、スコアが0.9以上のものを採用した。
3.結果と考察
 能登半島北東部で発生した地震の多くは、北西-南東方向または西北西-東南東方向の主圧力軸を持つ逆断層型の震源メカニズムであり、この地域の広域応力場と調和的である。しかし、横ずれ型の震源メカニズムを持つ地震も少なからず発生している。南部のクラスターでは明瞭な逆断層型の震源メカニズムは見られなかった。横ずれ型の震源メカニズムを持つ地震は、能登半島北東部沿岸に震源が位置し、北北西-南南東の主圧力軸であった。また逆断層型以外の震源メカニズム解を持つ地震は、地震発生数が多い2022年3月~6月の間に多く発生する傾向が見られる。この時期の地震活動には断層での流体移動の影響が大きい可能性が指摘されており(Nishimura et al., 2022)、逆断層型以外の震源メカニズム解を持つ地震の発生も流体移動と関係することが考えられる。

謝辞
 本研究では、気象庁の一元化震源データと地震波形データ、防災科学技術研究所Hi-netの地震波形データを使用しました。記して感謝いたします。