日本地震学会2022年度秋季大会

講演情報

D会場

一般セッション » S10. 活断層・歴史地震

[S10] PM-2

2022年10月26日(水) 15:00 〜 16:15 D会場 (5階(520研修室))

座長:松浦 律子(公益財団法人地震予知総合研究振興会)、大邑 潤三(東京大学地震研究所 地震予知研究センター)

15:30 〜 15:45

[S10-08] 地震史料集に掲載された地震史料の出典の検討ー天正七年の地震ー

*服部 健太郎1 (1. 関西大学)

『理科年表』の「日本付近のおもな被害地震年代表」に代表される被害地震カタログに掲載された情報のうち,既刊地震史料集からの引用に留まっているものが存在する.こういった情報について,史料集に掲載された記述の出典を調べることが重要である.
本発表では,天正七年正月二十日(ユリウス暦1579年2月15日)の摂津の被害地震に注目する.「日本付近のおもな被害地震年代表」によると,この地震により,四天王寺の鳥居が崩壊し,余震が3日続いたとされている.この情報は,『増訂大日本地震史料集第1巻』545頁に掲載された「天正日記」という史料が元になっている.しかし,出典に遡ることができないこと,また同日の地震記録が他に見えないことなどから,天正七年の被害地震の実在性に疑問が唱えられていた(『続 古地震』233-238頁).
今回の発表では,出典を調査した結果,天正七年ではなく天文七年正月二十日(ユリウス暦1538年2月19日)の被害地震であった可能性について議論する.
なお,天文七年正月二十日の地震を記した記録としてこれまで知られていたのは,「お湯どのの上の日記(『新収日本地震史料補遺』59頁)と「大般若経奥書」(中西・矢野,2003; 『日本の歴史地震史料拾遺三』30頁)である.今回,これら以外の記録についても調査した結果を発表する.