2:00 PM - 5:30 PM
[S10P-03] Subsurface structure revealed by seismic reflection survey along the eastern margin fault zone of the Yokote Basin, northeast Japan
高橋 他(2022, JpGU)では横手盆地東縁断層帯について,1896年の陸羽地震(Mj= 7.2)の際に明瞭な地表変位を生じた(例えば,山崎, 1896; 松田ほか, 1980)北部区間と,地表地震断層の出現が報告されていない南部区間で,地下構造の特徴にどのような違いがあるかを明らかにするために,断層の走向方向とほぼ平行な測線において反射法地震探査を実施した.本発表では,反射断面の北部区間に着目して千屋断層上盤側の断層構造と,反射断面と過去に実施された重力探査(木村 他, JpGU, 2021)により推定された密度断面との比較を通した考察について報告する.
横手盆地東縁断層帯は,秋田県仙北市から同湯沢市に至る,南北走向で総延長約56 km,上下変位レートが1.0 mm/yr程度の活断層帯である(地震調査研究推進本部地震調査委員会, 2005).同断層帯は主として東側隆起の逆断層であり,大局的には横手盆地と東方の山地との境界に沿うように分布している.1896年の陸羽地震では,同断層帯の北部(約26 km,白岩断層・太田断層・千屋断層・金沢断層北部)に沿って明瞭な地表地震断層が出現した(例えば,山崎, 1896; 松田ほか, 1980).一方,同断層帯の南部(約30 km,金沢断層南部・杉沢断層・大森山断層)では顕著な地表変位は報告されていない.
高橋 他 (2022, JpGU)では,秋田県仙北郡美郷町の善知鳥(うとう)付近から,みずほの里ロード沿線の南方へ至る約15 km の測線でP波反射法地震探査を実施した.探査測線は,横手盆地東縁断層帯の地表トレース(今泉ほか, 2018)にほぼ平行に設定した.発震は大型バイブレータ震源(米国IVI社製のHEMI-40)で行い,標準発震点間隔は25 m である.標準受振点間隔は25 m として,460 ch 以上を同時収録し,サンプリング間隔は2 ms である.データ収録には独立型レコーダ(米国Geospace社製のGSX, GSR)を用いた.取得データに対して,一般的な共通中間点重合法によるデータ処理(例えば,物理探査学会, 2016)を行い,マイグレーション深度変換断面から,深度約 3 km 程度までの地下構造をイメージングした.その結果,地表での破壊停止部を境界に北部では比較的連続性が良く,ほぼ水平な反射面が深さ2.5 km程度まで卓越しているのに対し,破壊停止部の南部では反射面は不明瞭であるという特徴の違いを明らかにした.
反射測線北部の4.2 km区間(CDP1~420;善知鳥~六郷東根)で得られた反射断面の特徴について,既知の反射断面との比較を通し考察する.このCDP区間は南端付近で千屋断層と斜交してその上盤側を通過する.区間南部のCDP350-420,深さ0-500 mの区間では見かけ上北へ傾斜する中角度の連続した複数の反射面が分布する.また,これらの反射面を深部方向へ追跡すると,傾斜が小さくなり,一部ではほぼ水平な反射面も見られた.こうした構造は,地下に低角な部分を有し浅部で高角化して地表に出現する逆断層形状に伴って生じたものであると考えられる.本探査測線の北方で千屋断層とほぼ直交する測線で実施された反射法地震探査(佐藤 他, 2006)でも,同様な地下構造が報告されている.ただし,本探査測線は千屋断層と斜交していること,千屋断層の東側には他にも複数の断層が分布すること,等も考慮する必要があり,佐藤 他(2006)で見られた地下構造との連続性については,現在検討中である.また,CDP420までの測線北部では川口断層とその他小規模な地表地震断層のトレースを横切る.それら断層トレースと反射測線の直交部分はCDP160, 280に相当するが,その近傍で中角度に傾斜する反射面が確認された.これらの急傾斜する反射面も上記断層群に伴う地層の変形を示している可能性がある.
先行研究の重力探査に基づき推定された密度断面図(木村 他, 2021, JpGU)では,地表での破壊停止点を境界としてその北側では南側に比べて相対的に低密度な構造をもつ領域が存在する.反射断面においては,この低密度域と同程度の空間スケールで連続性の良い水平な反射面が観測されている.また,とくに深度1000 m程度までに関しては,横手盆地東縁断層帯に直交する測線での反射法地震探査が数多く実施されている.今後は,こうした地下構造情報に加えて,地質図・ボーリングデータ等の地質情報とも比較し,本探査断面の地質学的解釈を進める.
横手盆地東縁断層帯は,秋田県仙北市から同湯沢市に至る,南北走向で総延長約56 km,上下変位レートが1.0 mm/yr程度の活断層帯である(地震調査研究推進本部地震調査委員会, 2005).同断層帯は主として東側隆起の逆断層であり,大局的には横手盆地と東方の山地との境界に沿うように分布している.1896年の陸羽地震では,同断層帯の北部(約26 km,白岩断層・太田断層・千屋断層・金沢断層北部)に沿って明瞭な地表地震断層が出現した(例えば,山崎, 1896; 松田ほか, 1980).一方,同断層帯の南部(約30 km,金沢断層南部・杉沢断層・大森山断層)では顕著な地表変位は報告されていない.
高橋 他 (2022, JpGU)では,秋田県仙北郡美郷町の善知鳥(うとう)付近から,みずほの里ロード沿線の南方へ至る約15 km の測線でP波反射法地震探査を実施した.探査測線は,横手盆地東縁断層帯の地表トレース(今泉ほか, 2018)にほぼ平行に設定した.発震は大型バイブレータ震源(米国IVI社製のHEMI-40)で行い,標準発震点間隔は25 m である.標準受振点間隔は25 m として,460 ch 以上を同時収録し,サンプリング間隔は2 ms である.データ収録には独立型レコーダ(米国Geospace社製のGSX, GSR)を用いた.取得データに対して,一般的な共通中間点重合法によるデータ処理(例えば,物理探査学会, 2016)を行い,マイグレーション深度変換断面から,深度約 3 km 程度までの地下構造をイメージングした.その結果,地表での破壊停止部を境界に北部では比較的連続性が良く,ほぼ水平な反射面が深さ2.5 km程度まで卓越しているのに対し,破壊停止部の南部では反射面は不明瞭であるという特徴の違いを明らかにした.
反射測線北部の4.2 km区間(CDP1~420;善知鳥~六郷東根)で得られた反射断面の特徴について,既知の反射断面との比較を通し考察する.このCDP区間は南端付近で千屋断層と斜交してその上盤側を通過する.区間南部のCDP350-420,深さ0-500 mの区間では見かけ上北へ傾斜する中角度の連続した複数の反射面が分布する.また,これらの反射面を深部方向へ追跡すると,傾斜が小さくなり,一部ではほぼ水平な反射面も見られた.こうした構造は,地下に低角な部分を有し浅部で高角化して地表に出現する逆断層形状に伴って生じたものであると考えられる.本探査測線の北方で千屋断層とほぼ直交する測線で実施された反射法地震探査(佐藤 他, 2006)でも,同様な地下構造が報告されている.ただし,本探査測線は千屋断層と斜交していること,千屋断層の東側には他にも複数の断層が分布すること,等も考慮する必要があり,佐藤 他(2006)で見られた地下構造との連続性については,現在検討中である.また,CDP420までの測線北部では川口断層とその他小規模な地表地震断層のトレースを横切る.それら断層トレースと反射測線の直交部分はCDP160, 280に相当するが,その近傍で中角度に傾斜する反射面が確認された.これらの急傾斜する反射面も上記断層群に伴う地層の変形を示している可能性がある.
先行研究の重力探査に基づき推定された密度断面図(木村 他, 2021, JpGU)では,地表での破壊停止点を境界としてその北側では南側に比べて相対的に低密度な構造をもつ領域が存在する.反射断面においては,この低密度域と同程度の空間スケールで連続性の良い水平な反射面が観測されている.また,とくに深度1000 m程度までに関しては,横手盆地東縁断層帯に直交する測線での反射法地震探査が数多く実施されている.今後は,こうした地下構造情報に加えて,地質図・ボーリングデータ等の地質情報とも比較し,本探査断面の地質学的解釈を進める.