2:00 PM - 5:30 PM
[S10P-04] Inversion of lateral faults in the Chugoku district explored by gravity anomaly: Case studies at the Chojagahara – Yoshii faults and the Oharako fault
・はじめに
中国地方西部では北東ー南西方向のリニアメントが卓越しており、それに沿って地質境界や断層、破砕帯が認められ、それらの一部は地質断層が第四紀後半に再活動した活断層である可能性が指摘されている(森岡ほか、2007)。この地域の活断層は概ね北東-南西から東北東-西南西方向に延びており、これらの活断層は白亜紀の南北圧縮応力場において形成された左横ずれ断層が現在の東西圧縮応力場でインバージョンして、右横ずれ運動をしていると示唆されている(e.g. 金折・遠田, 2007)。 応力場の変化により断層のずれ方向が逆となるインバージョンテクトニクスについては逆断層での例がよく知られており、重力異常に基づく断層構造の解析結果から高角の逆断層や上盤の基盤深度が下盤の基盤深度より深い逆断層の存在が報告されている (e.g. Hiramatsu et al., 2019)。横ずれ断層についても重力異常分布からそのずれ方向を知ることが可能である(萩原, 1986; 萩原ほか, 1997; Matsumoto et al., 2016)。本研究では長者ヶ原-芳井断層および大原湖断層を対象として重力異常解析を行い、西南日本における横ずれ断層の運動方向のインバージョンについて重力異常の観点から報告する。
・データと方法
本研究では、長者ヶ原-芳井断層および大原湖断層周辺で2020〜2022年にかけてそれぞれ212点と51点の重力測定を行なった。使用した重力計は金沢大学所有のScintrex社製CG-3M型重力計である。測定点の緯度、経度および標高はGNSSにより決定した。解析には金沢大学既存重力データに加え、国土地理院(2006)、西南日本重力グループ(2010)、Yamamoto et al. (2011)、産業総合技術研究所地質調査総合センター(2013) の重力データを使用した。地形補正とブーゲー補正に用いる仮定密度は長者ヶ原-芳井断層周辺については2550 kg/m3、大原湖断層周辺については2300 kg/m3 である。重力データは通常の補正に加え、10mDEMによる地形補正、ローパスフィルター処理、トレンドの除去を行った。この重力異常に対して断層構造の特徴を捉えるために、方向微分(断層の走向方向および走向と垂直方向)の計算を行なった。
・結果と考察
長者ヶ原-芳井断層では、北東部および南西部において重力異常分布と走向方向の方向微分値分布から左横ずれのパターンが認められる。現在の応力場では長者ヶ原-芳井断層は右横ずれの断層運動をしているため、重力異常すなわち密度構造の観点から過去において左横ずれの断層運動を長者ヶ原-芳井断層がしていたことが確認された。一方、大原湖断層では、重力異常分布と走向方向の方向微分値分布からは場所により右横ずれあるいは左横ずれのパターンが認められ、断層帯全体でインバージョンを起こした活断層であるか否かの判断は困難である。大原湖断層についてはその大部分が険しい山地に延びており、重力測定点を密に配置することが難しいため、横ずれ断層の運動方向の情報を重力異常から得られなかった可能性もある。
謝辞:この研究を行うにあたり、国土地理院、西南日本重力グループ(2010)、Yamamoto et al. (2011)、産業総合技術研究所地質調査総合センター(2013)の重力データを使用しました。
中国地方西部では北東ー南西方向のリニアメントが卓越しており、それに沿って地質境界や断層、破砕帯が認められ、それらの一部は地質断層が第四紀後半に再活動した活断層である可能性が指摘されている(森岡ほか、2007)。この地域の活断層は概ね北東-南西から東北東-西南西方向に延びており、これらの活断層は白亜紀の南北圧縮応力場において形成された左横ずれ断層が現在の東西圧縮応力場でインバージョンして、右横ずれ運動をしていると示唆されている(e.g. 金折・遠田, 2007)。 応力場の変化により断層のずれ方向が逆となるインバージョンテクトニクスについては逆断層での例がよく知られており、重力異常に基づく断層構造の解析結果から高角の逆断層や上盤の基盤深度が下盤の基盤深度より深い逆断層の存在が報告されている (e.g. Hiramatsu et al., 2019)。横ずれ断層についても重力異常分布からそのずれ方向を知ることが可能である(萩原, 1986; 萩原ほか, 1997; Matsumoto et al., 2016)。本研究では長者ヶ原-芳井断層および大原湖断層を対象として重力異常解析を行い、西南日本における横ずれ断層の運動方向のインバージョンについて重力異常の観点から報告する。
・データと方法
本研究では、長者ヶ原-芳井断層および大原湖断層周辺で2020〜2022年にかけてそれぞれ212点と51点の重力測定を行なった。使用した重力計は金沢大学所有のScintrex社製CG-3M型重力計である。測定点の緯度、経度および標高はGNSSにより決定した。解析には金沢大学既存重力データに加え、国土地理院(2006)、西南日本重力グループ(2010)、Yamamoto et al. (2011)、産業総合技術研究所地質調査総合センター(2013) の重力データを使用した。地形補正とブーゲー補正に用いる仮定密度は長者ヶ原-芳井断層周辺については2550 kg/m3、大原湖断層周辺については2300 kg/m3 である。重力データは通常の補正に加え、10mDEMによる地形補正、ローパスフィルター処理、トレンドの除去を行った。この重力異常に対して断層構造の特徴を捉えるために、方向微分(断層の走向方向および走向と垂直方向)の計算を行なった。
・結果と考察
長者ヶ原-芳井断層では、北東部および南西部において重力異常分布と走向方向の方向微分値分布から左横ずれのパターンが認められる。現在の応力場では長者ヶ原-芳井断層は右横ずれの断層運動をしているため、重力異常すなわち密度構造の観点から過去において左横ずれの断層運動を長者ヶ原-芳井断層がしていたことが確認された。一方、大原湖断層では、重力異常分布と走向方向の方向微分値分布からは場所により右横ずれあるいは左横ずれのパターンが認められ、断層帯全体でインバージョンを起こした活断層であるか否かの判断は困難である。大原湖断層についてはその大部分が険しい山地に延びており、重力測定点を密に配置することが難しいため、横ずれ断層の運動方向の情報を重力異常から得られなかった可能性もある。
謝辞:この研究を行うにあたり、国土地理院、西南日本重力グループ(2010)、Yamamoto et al. (2011)、産業総合技術研究所地質調査総合センター(2013)の重力データを使用しました。