The 2022 SSJ Fall Meeting

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Room D

Regular session » S13. Crustal fluids and earthquake

[S13] AM-2

Mon. Oct 24, 2022 11:00 AM - 11:45 AM ROOM D (5th floor (Training Room 520))

chairperson:Osamu MURAKAMI(Tono Geoscience Center, Japan Atomic Energy Agency)

11:00 AM - 11:15 AM

[S13-01] Activity and waveform characteristics of deep low-frequency earthquakes in volcanic regions

*Ryo KURIHARA1 (1. Hot Springs Research Institute of Kanagawa Prefecture)

火山地域では深部低周波地震と呼ばれる通常の同規模の地震に比べて低い1–8 Hzに卓越する地震が発生している。これまでの研究で、この地震は多くの火山地域では深さ方向に複数の孤立したスポットに分かれて分布すること、定常的に発生する地域と群発的に発生する地域の両方があることなどがわかっている(Kurihara and Obara, 2021)。一方で、この地震の波形の特徴と活動の関係に関しては未知なことが多い。霧島山では、2011年の噴火時に深部低周波地震が活発化し、その波形が他の時期の深部低周波地震と比べてより低周波に卓越していることがわかっている(Kurihara et al., 2019)。一方で、2018年の噴火時には活発化は小規模でよくわかっていなかったため、本研究では2018年噴火時の活動の再検証を行った(Kurihara and Kato, submitted)。検出漏れを減らすため、まず1観測点でのマッチドフィルタ法(Kurihara et al., 2021)を適用し、この手法で2017–2018年, 2010–2011年それぞれの深部低周波地震の検出を行った。次に、誤検出を除去するため、周辺複数の観測点を用いた波形の目視による確認で深部低周波地震を選択した。このようにしてカタログを作った結果、2017–2018年には75個、2010–2011年には1302個の深部低周波地震が検出された。このように発生数には大きな差があるものの、2017–2018年においても群発的な活動が地殻変動の開始時に対応するなど、浅部での火山活動と関連が見られる。一方で、小菅他2020を参考に波形の特徴をFrequency Index(ここでは、1-2 Hzの平均振幅と4-8Hzの平均振幅の比を用いて定義した)によって定量化すると、2017–2018年においてはFrequency Index の値は-2から0の間でばらつきが大きい一方で、2010–2011年では多くのイベントで-1以下のFrequency Indexを示す。つまり、2010–2011年では、低い帯域に大きなスペクトルを持つ深部低周波地震が多い。このような差は、深部低周波地震発生域周辺への流体供給ルートが2回の噴火で異なることによって生み出されていると推測できる。一方、箱根山では2015年噴火前後に深部低周波地震が活発化(Yukutake et al., 2019)したものの、Frequency Indexでは全期間を通じて値のばらつきも大きく、特に期間毎の顕著な違いが見られなかった。また富士山では、高周波のP波が観測される事例や、10秒程度の間隔で明らかに卓越周期の違う深部低周波地震が連発している例があった。このように、全国的にも波形の特徴は地震毎に大きく異なるケースも多い。これらの観測例から、この地震の発生には深部の流体の影響があり、深部の流体は波形の特徴にも影響を及ぼしていることが推測される。