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[S13P-01] Consideration of slow crustal strain changes after earthquakes -In the case of TSS observation site-
産総研では南海トラフでの巨大地震の短期・中期予測研究のために、愛知県・紀伊半島・四国の観測点で地殻変動・地下水の観測を行い、特にプレート境界での短期的SSEのモニタリングに重点をおいて取り組んでいる。2019年5月10日の日向灘の地震(M6.3)の後に、土佐清水松尾観測点のボアホール歪計でゆっくりとした地殻歪変化が観測された。2009年1月から2022年7月の間で四国周辺でのM5以上の地震や土佐清水市で震度2以上の地震を対象に同様な地殻歪変化を調査したところ、土佐清水松尾観測点では計13例の地殻歪変化が見つかった(そのうち1例は後述する大雨による変化であった)。これらの地殻歪変化の水平成分は短期的SSEによる歪変化に似ており、足摺岬南東側のプレート境界の固着域でのすべりの可能性が考慮された。しかしながら、類似の歪変化が繰り返し発生することや地殻歪の鉛直成分が変化していないことから、プレート境界でのすべりではないと判断された。これら12例のうちの11例では同時に土佐清水松尾観測点の孔2観測井戸の水位が変化していた。このように同様の変化が何度も繰り返し発生するため、観測点周辺で生じた局所的な変化の可能性が高いと推測している。土佐清水松尾観測点では大雨の際にも地殻歪変化が観測されており、その水平成分は地震後のゆっくりとした変化に類似していることが判明した。一方、地殻歪の鉛直成分や孔2観測井戸の水位変化は地震後と大雨時で異なっていた。大雨時に生じる地殻歪変化と水位変化の定量的な関係を議論するとともに、地震後に観測点周辺で生じたと思われる局所的な応力場の変化(地下水流動を含む)の可能性についての議論を行う。