日本地震学会2022年度秋季大会

講演情報

B会場

一般セッション » S15. 強震動・地震災害

[S15] PM-1

2022年10月26日(水) 14:00 〜 15:15 B会場 (4階(大会議室))

座長:引間 和人(東京電力ホールディングス)、鈴木 亘(防災科学技術研究所)

15:00 〜 15:15

[S15-21] 2021年千葉県北西部の地震の首都圏における強震動

*三宅 弘恵1、上原 美貴1 (1. 東京大学地震研究所)

2021年10月7日に千葉県北西部の深さ75 kmで気象庁マグニチュード5.9(Mw 5.9~6.0)の地震が発生した.この地震は,2005年7月23日に千葉県北西部の深さ73 kmで発生した気象庁マグニチュード6.0(Mw 5.9~6.0)の地震の繰り返し地震と考えられ,それ以前の太平洋プレートの沈み込みに伴うM6クラスの地震との類似性(地震調査委員会, 2005, 2021;鎌谷・勝間田, 2022)も指摘されている.
 2021年と2005年の地震の地震動を比較すると,いずれの地震も最大震度は5強で,これらの高震度は自治体震度計により観測されている.2021年と2005年の地震の計測震度は,東京足立区伊興で5.1と5.0,埼玉川口市三ツ和(旧鳩ケ谷市)で5.0と4.5,埼玉宮代町笠原で5.0と4.5であり,これらの3観測点においては,2021年の地震の計測震度の方が大きかった.
 東京大学地震研究所の首都圏強震動総合ネットワーク(SK-net)では,自治体が運用する震度計等の観測波形データを,研究利用に限定して取得している.東京足立区伊興では,東西成分卓越する地震動が観測されており,計測震度の差は0.1であるが,周期1秒において2021年の東西成分の擬似速度応答は100 cm/sに達し,2005年の応答の約2倍となっている.また,観測点の移設等はないことを確認している.埼玉県の2観測点についても,いずれも2021年の東西成分が大きく,高震度の原因となっている.
 2021年と2005年の地震の観測記録については,鎌谷・勝間田(2022)は,東京大手町の気象庁震度計の東西成分を対象に相関係数0.93を求めているが,前述の高震度観測点の変位波形における相関係数はいずれもこの値よりも低く,2011年東北地方太平洋沖地震に起因する地盤特性の速度低下および時間変化等の影響が示唆される.本発表では,これらの地震の首都圏における強震動分布の特徴と空間相関係数の周期依存性について紹介する.

謝辞:本研究ではK-NET・KiK-netの強震記録と,首都圏強震動総合ネットワーク(SK-net)を通して,東京都・東京消防庁・神奈川県・横浜市・埼玉県・千葉県・山梨県・群馬県・栃木県・茨城県・長野県・静岡県および東大地震研の強震計・震度計の観測波形データを利用しました.