The 2022 SSJ Fall Meeting

Presentation information

Poster session (2nd Day)

Regular session » S15. Strong ground motion and earthquake disaster

[S15P] AM-P

Tue. Oct 25, 2022 9:30 AM - 12:00 PM ROOM P-2 (10th floor (Conference Room 1010-1070))

9:30 AM - 12:00 PM

[S15P-09] Long-period ground motion simulations in the western part of Shizuoka prefecture for large earthquakes in the Nankai trough

*Takeshi NAKAMURA1 (1. Central Research Institute of Electric Power Industry)

本研究では、南海トラフで繰り返し発生している大地震について、海域の3次元地下構造や海水層、海底地形を含む構造モデルを用いて、静岡県西部地方をターゲットにした長周期地震動のシミュレーションを実施した。静岡県西部は、牧之原台地から西方の遠州灘沿岸部で低地が続き、浜名湖から天竜川河口付近にかけて広がる浜松平野においては高さ100 m超の高層建築物が複数立地する。1944年東南海地震では、紀伊半島南部の破壊開始点から断層面上で破壊フロントが伝播する方向にあたり、また、それと平行して海洋堆積層がトラフ軸に沿って広がる方向に位置し、伝播経路上の堆積層で生成、増幅した表面波の伝播が予想される場所である。断層面上のすべり分布の不均質性が大きく破壊様式が多様な大地震の断層震源に対し、本研究では多数の震源モデルを用いてシミュレーションを行い、モデルの不確実性による振幅のばらつきを含めた評価を行った。

多数の震源モデルに対してシミュレーションを効率的に行うため、本研究では相反定理を用いて総計算量を節減した。観測点は防災科学技術研究所によるKiK-net SZOH28(浜松市)を対象とし、波形合成で必要となるグリーン関数の計算では、Nakamura et al. (2012)による3次元差分法を用いた。地下構造についてはJ-SHIS(藤原・他, 2012)および仲西・他(2021)等のモデル、陸上および海底地形についてはGEBCOによる15秒メッシュデータを用いた。震源モデルについては、Murphy et al. (2016)による手法に倣い、基準とする断層震源モデル(Ichinose et al., 2003; Kikuchi et al., 2003)のすべり量分布を確率密度関数として、マルチスケールの円形クラックを確率密度関数に従って配置した派生的なすべり分布モデルを50個準備した。各すべり分布モデルに対し、破壊伝播速度や破壊開始点などのパラメータを変えながら長周期帯(5秒以上)の波形振幅値を求めた。発表では、震源の各パラメータの不確実性が振幅のばらつきに与える影響や使用する構造モデルの違いによる波形振幅への影響について報告する。なお、本研究は、科研費19H01982の助成を受けたものである。