The 2022 SSJ Fall Meeting

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Room D

Regular session » S17. Tsunami

[S17] AM-2

Tue. Oct 25, 2022 11:15 AM - 12:00 PM ROOM D (5th floor (Training Room 520))

chairperson:Yushiro Fujii

11:15 AM - 11:30 AM

[S17-01] Modeling of the 2022 Tonga Eruption Tsunami Recorded on Ocean Bottom Pressure and Tide Gauges Around the Pacific

*Yushiro Fujii1, Kenji Satake2 (1. International Institute of Seismology and Earthquake Engineering, Building Research Institute, 2. Earthquake Research Institute, the University of Tokyo)

2022年1月15日のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山噴火に伴う津波が,太平洋周辺の海底水圧計(DART)と検潮所で記録された.津波の第1波は,火山付近からの津波の伝播速度から推定される到達時間(ETA)よりもはるかに早く記録され,噴火による気圧波(ラム波:伝播速度は約310 m/s)に励起された津波であった.第2波も,一部の観測点では ETA より早く到達しており,伝播速度200~250 m/s の大気重力波によるものと考えられる.
  本研究では,空間格子間隔24弧秒の球面座標系において,20時間の津波伝播を線形長波方程式で数値的に解いた.火山中心の1格子点から広がる環状の水位を津波伝播計算の入力とした.環状の水位の広がりは,その伝播速度と波源での初期振幅によってパラメータ化され,計算領域内すべての格子点における振幅は,1/sqrt(R*sin(delta))で距離減衰する.ここで,Rは地球の半径,deltaは震央距離(角距離)を示す.
  DARTで観測された第1波と計算波形の比較から,水位変化の立ち上がり時間を600秒と仮定して,上記2つの波源パラメータ,すなわち波源での初期振幅(3.83 m)と発震時刻(04:16 UT)をインバージョンによって求めた.インバージョンは3つの異なる伝播速度(305,310,315 m/s)で行ったが,310 m/sのときに観測波形と計算波形の一致度が最も良い結果が得られた.この時,同心円状に広がる水位の環の幅は約370 kmである.
  津波の第2波は,200~250 m/sの伝播速度で,負の初期振幅(-1 m)を持つ環状の水位の広がりによって計算した.計算波形と残差波形(観測波形から,第1波の計算波形を差し引いたもの)の相関係数が高くなるのは,第2波の伝播速度が日本と南アメリカに向かって速く(240~250 m/s),北米に向けてやや遅い(200~210 m/s)場合であった.ラム波と大気重力波の2つの環状に広がる水位によって計算した波形は,日本など遠地の検潮所で記録された津波波形も後続波を含めて概ね再現できる.