日本地震学会2022年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(3日目)

特別セッション » S22. 北海道周辺の沈み込み帯における地震・津波に関する諸現象

[S22P] PM-P

2022年10月26日(水) 13:30 〜 16:00 P-2会場 (10階(1010〜1070会議室))

13:30 〜 16:00

[S22P-01] High-rate GNSSデータの同化による2003年十勝沖地震の初期余効すべりの推定

*加納 将行1、伊東 優治2,3 (1. 東北大学大学院理学研究科 地球物理学専攻 固体地球物理学講座、2. グルノーブルアルプ大学地球科学研究所、3. 東京大学地震研究所)

巨大地震発生後の余効変動を正確に把握することは、地震後に発生する誘発地震の予測や次の巨大地震までの回復過程を理解する上で重要である。特に地震発生後数か月から数年の間に卓越する余効すべりの正確な把握や推移予測には、地震発生直後(特に1日以内)の余効すべり(以下「初期余効すべり」と呼ぶ)の情報が必要であることが最近の研究により示されている(例えばTwardzik et al., 2019、Kano et al., 2020)。また初期余効すべりは断層のすべりを規定する摩擦構成則を理解する上でも重要である(Helmstetter and Shaw, 2009)。
 Kano et al. (2020)は、GNSSによる地殻変動データを速度状態依存摩擦構成則を仮定して計算される断層すべりの数値シミュレーションにデータ同化する手法を開発し、2003年十勝沖地震(Mw 8.0)の地震後一ヶ月の余効すべりを対象にすべりの再現と短期推移予測に成功した。しかしながら、この際同化したデータは地震翌日を初期時刻とした日ごとの変位データのため、地震直後から翌日までの情報は使用していない。また、最初の変位データが同化されるまでの1日間(すなわち地震の翌日から2日後)に不自然なすべり速度の加速が推定されたが、このすべりの加速の真偽を確かめるためには、より高サンプリングな観測データを用いる必要がある。そこで我々は従来より高サンプリングなGNSSデータに基づく地震直後の地殻変動データから初期余効すべりを推定するデータ同化手法を開発した。本講演では開発した手法を2003年十勝沖地震の初期余効すべり推定に適用した結果を報告する。