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[S22P-03] Three-dimensional Vs structure in the offshore forearc region along the Japan and Kuril trenches estimated by ambient noise tomography
日本海溝海底地震津波観測網(S-net)によって東北日本と北海道の前弧海域下における通常地震やスロー地震の詳細な活動や震源特性が明らかになってきた(e.g. Nishikawa et al., 2019, Yoshida et al., 2022)。しかし、地震発生場の理解に重要である前弧海域におけるS波速度構造の理解は限られている。本研究の目的は、S-netで観測された常時微動表面波を用いたトモグラフィーによって、東北日本と北海道の前弧海域における3次元S波速度構造を推定することである。解析にはTakagi et al. (2021) によって得られた機器ノイズ除去済みの多成分相互相関関数を用いて、レイリー波基本モード・1次モードおよびラブ波基本モードの分散曲線を観測点ペア毎の1次元速度構造をモデルパラメータとするTakagi & Nishida (2022)の手法により推定した。次に、波線の屈曲と有限周波数効果を考慮した表面波トモグラフィー(e.g. Yoshizawa et al., 2004)により周波数毎の位相速度マップを推定した。周波数帯域はレイリー波およびラブ波の基本モードでは0.03-0.12 Hz、レイリー波1次モードでは 0.09-0.12 Hz である。その後、大円経路からの距離で重みをつけて観測点ペア毎の1次元速度構造を平均化することで3次元初期構造を作成し、局所分散曲線の線形化インバージョン(Herrmann, 2013)により深さ50 kmまでの3次元S波速度構造を推定した。推定されたS波速度構造は、特に深さ10 km程度以浅において、構造探査によるP波速度構造の特徴とよく一致する(e.g. Ito et al., 2004)。また、沈み込む海洋性地殻と考えられる低速度領域が深さ30 km程度までイメージされた。上盤内およびプレート境界付近のS波速度構造は日本海溝および千島海溝に沿って空間的に変化しており、スロー地震および通常地震分布とS波速度構造の対応関係を詳細に調べることで、地震発生場の理解をより深められると期待される。