The 2023 SSJ Fall Meeting

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Room C

Regular session » S01. Theory and analysis method

[S01] AM-2

Thu. Nov 2, 2023 10:45 AM - 12:00 PM Room C (F202)

chairperson:Lina Yamaya(National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience), Ayumu Mizutani(Hokkaido University)

11:30 AM - 11:45 AM

[S01-04] Clustering method to infer fault surfaces from micro-earthquakes: Application to the Ibaraki-Fukushima, NE Japan, area

*Genki Watanuki1, Ryosuke Ando1, Aitaro Kato2 (1. Graduate School of Science, University of Tokyo, 2. Earthquake Research Institute, University of Tokyo)

地震発生時の破壊過程を観測データの逆解析や動的破壊シミュレーションによって理解することを目的とする研究では, 断層面形状のモデリングがその過程の中で必要となるが, その多くでは微細な断層面の分岐や折れ曲がりなどの非平面性が取り入れられていないのが現状である. 例えば, 複数の断層面が立て続けに破壊する複雑な過程を経て発生したと考えられている, 2011年Mj7.0福島県浜通りの地震(浜通り地震)に関して, 過去様々な断層面形状モデルが提案されてきたが, 非平面性の無い大きな矩形断層面が複数設置されたモデル(例: Kobayashi et al., 2012; Hikima, 2012)や, 折れ曲がりは含まれているものの微細な分岐性までは取り入れられていないモデル(例: Fukushima et al., 2013)が殆どであり, 投稿者の知る限りでは微細な断層面の分岐と折れ曲がりの両者を含んだ断層面形状モデルは現在の所存在していない. 本研究では微小地震震源分布を用いた高解像度断層面抽出手法の開発を試みる. また, 応用例としてそれを茨城-福島県境付近に位置する浜通り地震の震源周辺領域に適用し, 浜通り地震発生時の破壊過程に関与した断層面の形状モデルの精緻化を目指す.

手法
微小地震分布の解析では, 第一にDBSCAN (Ester et al., 1996) を用いたクラスタリングを行う. DBSCANは点の集合の「密度」の大小によって点の集合のクラスタリングおよびノイズ点の検知を行うアルゴリズムであり, 球状に限らず任意の形状のクラスタを検出できること, および予めクラスタ数を指定しなくとも良いことを特徴としている. クラスタリングを行った後, 第二に各クラスタに関して重回帰分析を実施して回帰平面を取得し, 決定係数が閾値を超えるクラスタのみを選択することで面状に点が分布しているとみなせるクラスタのみを取得する. 本研究では, この二段階のアルゴリズムをscikit-learnとNumPyのライブラリを用いて実装した. これらの手続きにより, 微小地震分布が十分な位置精度で決定されたものであれば, 微小地震分布から微細な断層面形状をも高解像度で取り出すことができる. 最後に, 面状クラスタを統合することによって, 微細な断層面の分岐や折れ曲がりを含む精緻な断層面形状モデルを構築する.

データ
以上の解析手法を, Kato et al. (2013)で構築された浜通り地震の震源域における震源カタログとその更新版(解析期間:2015年12月31日まで延長)に適用した.

予備的結果
微小地震分布からDBSCANを用いて複数の微細な面状クラスタを抽出しうることが確認できた. さらに, それらのクラスタに対して, 回帰平面を得ることができた. 本発表ではこの解析結果について報告するとともに, 面状クラスタを統合し, 最終的に震源破壊過程の解析・シミュレーションに用いられうる精緻な断層面形状モデルを得る方法についての検討も浜通り地震を事例として行う予定である.