11:30 AM - 11:45 AM
[S02-08] A comparative study of seismic data measured by surface-deployed DAS with two interrogators and different cable deployment conditions
光ファイバーケーブルをセンサーとして用いるDistributed Acoustic Sensing(以下DAS)計測は、高密度なデータ取得が可能である利点により、地震計等に基づく観測システムと比して空間分解能を向上できるセンシング技術として注目され、地下探査、地震や火山による振動のモニタリングの分野でも広く活用され始めている(例えば[1-3])。また、DAS計測に用いる光ファイバーケーブルの敷設方法は複数検討されており、近年、地震・火山の分野では、いわゆるdark fiberと呼ばれる通信用光ファイバーケーブルなどの既設のファイバーを利用したDAS関する研究が多数報告されている(例えば[4, 5])。しかし、dark fiberは計測場所を自由に選択できない等の制約もあり、新たに地表に光ファイバーケーブルを敷設してDAS計測を行う事例も報告され始めている(例えば[6])。
他方で、DAS計測においては、光ファイバーケーブルに対して光波出力および後方散乱光解析を担う機器、いわゆるインテロゲーターが重要な要素の1つとして考えられ、例えば、バイブレータを用いたvertical seismic profileのテストにより、使用するインテロゲーターの差異がDAS記録の影響を与えることが示唆されている[7]。また、新たに敷設する場合の光ファイバーケーブルの敷設条件についても複数の方法による記録の違いについて言及されているが[6]、地震波の実データを用いた先行研究は限られる。
本研究では、地表でのDAS計測における、2台のインテロゲーターおよび異なるケーブルの敷設条件によるDAS計測記録の違いを検証するため、2芯のファイバーが挿入された光ファイバーケーブルを約70mの区間で地表に敷設し、それぞれの芯に異なるインテロゲーターを接続して同時・同地点の連続DAS計測を行った。光ファイバーの敷設条件としては、10cm程度の深さで埋設、地表に敷設してペグにより一定間隔で固定、ペグに加えて上にプロテクターを設置、の3パターンの区間を用意した。本発表では、当DAS計測において取得した地震の計測結果を用い、インテロゲーターの差異、および光ファイバーケーブルの敷設条件の差異から生じる記録の違いについて報告する。
図:INPEX技術研究所敷地内にて約70m区間に光ファイバーケーブルを1往復(全長約160m)させDAS計測した結果
2023年4月25日23時7分に東京湾で発生したM2.9の地震記録
参考文献
[1] T. M. Daley et al., “Field testing of fiber-optic distributed acoustic sensing (DAS) for subsurface seismic monitoring,” The Leading Edge, 32, 699-706 (2013).
[2] N. J. Lindsey et al., “Fiber-Optic Network Observations of Earthquake Wavefields,” Geophysical Research Letters, 44, 11792-11799 (2017).
[3] T. Nishimura et al., “Source location of volcanic earthquakes and subsurface characterization using fiber-optic cable and distributed acoustic sensing system,” Scientific Reports, 11, 6319 (2021).
[4] J. B. Ajo-Franklin et al., “Distributed Acoustic Sensing Using Dark Fiber for Near-Surface Characterization and Broad-band Seismic Event Detection,” Scientific Reports, 9, 1328 (2019).
[5] Z. Zhan et al., “Optical polarization-based seismic and water wave sensing on transoceanic cables,” Science, 371, 931-936 (2021).
[6] J. E. Monsegny et al., “A comparative study of data from different DAS interrogators,” SEG Technical Program Expanded Abstracts, 483-487 (2021).
[7] N. Harmon et al., “Surface deployment of DAS systems: Coupling strategies and comparisons to geophone data,” Near Surface Geophysics, 4, 465–477 (2022).
他方で、DAS計測においては、光ファイバーケーブルに対して光波出力および後方散乱光解析を担う機器、いわゆるインテロゲーターが重要な要素の1つとして考えられ、例えば、バイブレータを用いたvertical seismic profileのテストにより、使用するインテロゲーターの差異がDAS記録の影響を与えることが示唆されている[7]。また、新たに敷設する場合の光ファイバーケーブルの敷設条件についても複数の方法による記録の違いについて言及されているが[6]、地震波の実データを用いた先行研究は限られる。
本研究では、地表でのDAS計測における、2台のインテロゲーターおよび異なるケーブルの敷設条件によるDAS計測記録の違いを検証するため、2芯のファイバーが挿入された光ファイバーケーブルを約70mの区間で地表に敷設し、それぞれの芯に異なるインテロゲーターを接続して同時・同地点の連続DAS計測を行った。光ファイバーの敷設条件としては、10cm程度の深さで埋設、地表に敷設してペグにより一定間隔で固定、ペグに加えて上にプロテクターを設置、の3パターンの区間を用意した。本発表では、当DAS計測において取得した地震の計測結果を用い、インテロゲーターの差異、および光ファイバーケーブルの敷設条件の差異から生じる記録の違いについて報告する。
図:INPEX技術研究所敷地内にて約70m区間に光ファイバーケーブルを1往復(全長約160m)させDAS計測した結果
2023年4月25日23時7分に東京湾で発生したM2.9の地震記録
参考文献
[1] T. M. Daley et al., “Field testing of fiber-optic distributed acoustic sensing (DAS) for subsurface seismic monitoring,” The Leading Edge, 32, 699-706 (2013).
[2] N. J. Lindsey et al., “Fiber-Optic Network Observations of Earthquake Wavefields,” Geophysical Research Letters, 44, 11792-11799 (2017).
[3] T. Nishimura et al., “Source location of volcanic earthquakes and subsurface characterization using fiber-optic cable and distributed acoustic sensing system,” Scientific Reports, 11, 6319 (2021).
[4] J. B. Ajo-Franklin et al., “Distributed Acoustic Sensing Using Dark Fiber for Near-Surface Characterization and Broad-band Seismic Event Detection,” Scientific Reports, 9, 1328 (2019).
[5] Z. Zhan et al., “Optical polarization-based seismic and water wave sensing on transoceanic cables,” Science, 371, 931-936 (2021).
[6] J. E. Monsegny et al., “A comparative study of data from different DAS interrogators,” SEG Technical Program Expanded Abstracts, 483-487 (2021).
[7] N. Harmon et al., “Surface deployment of DAS systems: Coupling strategies and comparisons to geophone data,” Near Surface Geophysics, 4, 465–477 (2022).