[S02P-02] WIN波形データ伝送プロトコルの策定
-世界標準規格の取り込み-
WINシステム(卜部・束田,1992)は日本側からの供与を除けば,日本国内のみで用いられる地震波形・伝送・収録・解析ツールである.WINシステム群中でもデータ伝送部分は、日本国内の大学・研究機関で行われている地震動観測のほとんど全てのデータ流通をになっている,基幹システムといっても良い.しかしながら、その伝送プロトコルの設計は古く,非常に脆弱(波形データフォーマットにパケット整理番号を付与し,無手順でデータをブロードキャスト)である.ただし,簡易なプロトコルのおかげもあり,送信システムは簡略化でき観測機器に実装しやすく,導入の容易な受信システムはWINデータが流通しているネットワーク(SINETやJGNを利用したクローズドなネットワークであるが,)に接続すれば日本国内の誰でも波形データを利用できる環境をもたらしている.一方,国際的なデータ流通やデータ利用を考えれば,国外から,国外へのデータ流通の大きな足枷である.先ごろ行われたIUGG2023でも,SEEDフォーマットを利用する解析システム(SeisComp, Seisan, Episodeなど)のセッションが設けられ,システム更新・発展や活発な議論行われる一方,WINシステムは完全にガラパゴス化している状況である.このような足枷を少しでも打破すべく,現状のWINシステムの枠組みの範疇で、地震波形データ以外のデータの流通も試みたが(大久保,2018,大竹,2019など),送受信を限定した,利用者の範囲内での改変に限られている.また,国際的には,地震波形データやGNSS時系列データは,サーバ=クライアント型で大規模データストレージを集中的に運用し,利用者は結果のみを利用するSaaS(Software as a Service)が主流となっている.海外での共通システムのより良い部分を素早く取り入れるためにも、世界標準の取り組みも参考にしていく必要がある。
我々は東京大学地震研究所 地震・火山噴火予知研究協議会の進める建議、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の一課題として,次期WIN伝送プロトコルの策定を試みた(KOC_02).はじめに、現状のWIN伝送との互換性を担保しつつ、新たに策定するWIN波形データ伝送プロトコルを運用するためには,無手順のデータ伝送ではなく,きちんと決められた仕組み(プロトコル)に従い,伝送させるデータについての情報交換をはじめに行う仕組みが必要であることが判明した.このような伝送プロトコルを運用すれば,さまざまな伝送データに対するプロトコル判定ののち,最終的にどの手順にも該当しない場合に現状のWINデータ伝送を試みるなど,伝送システムの互換性を担保できるだけでなく,データフォーマットに依存しない伝送プラットフォームとしても動作しうる. 加えて,さまざまなデータの同時伝送に対応するためにも,伝送プロトコルとして,VPN(仮想ネットワーク)を(単一/複数)構成する仕組みを組み込む.これにより,海外へ,海外からのデータ送受信も容易になり,複数のVPN経路の末端で異なる収録システム(データ伝送帯域,システム能力にも依存するが,)を利用することで,機密性の高いデータ流通にも対応する.これにより,現状クローズドなネットワークのみで運用されている伝送経路を拡張でき,クラウドストレージ・サーバでの運用等への対応や,データ利用の国際化,オープンデータ化が可能となる.
以上が,5年間の課題遂行の上で検討した次期WIN伝送プロトコルの概要である.発表では、現状の到達点,問題点について示し,WINデータ伝送に関わるもしくは,新たな伝送プラットフォームに関心がある方々の意見を聞き取り,プロトコル(最終)策定に向ける.
我々は東京大学地震研究所 地震・火山噴火予知研究協議会の進める建議、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の一課題として,次期WIN伝送プロトコルの策定を試みた(KOC_02).はじめに、現状のWIN伝送との互換性を担保しつつ、新たに策定するWIN波形データ伝送プロトコルを運用するためには,無手順のデータ伝送ではなく,きちんと決められた仕組み(プロトコル)に従い,伝送させるデータについての情報交換をはじめに行う仕組みが必要であることが判明した.このような伝送プロトコルを運用すれば,さまざまな伝送データに対するプロトコル判定ののち,最終的にどの手順にも該当しない場合に現状のWINデータ伝送を試みるなど,伝送システムの互換性を担保できるだけでなく,データフォーマットに依存しない伝送プラットフォームとしても動作しうる. 加えて,さまざまなデータの同時伝送に対応するためにも,伝送プロトコルとして,VPN(仮想ネットワーク)を(単一/複数)構成する仕組みを組み込む.これにより,海外へ,海外からのデータ送受信も容易になり,複数のVPN経路の末端で異なる収録システム(データ伝送帯域,システム能力にも依存するが,)を利用することで,機密性の高いデータ流通にも対応する.これにより,現状クローズドなネットワークのみで運用されている伝送経路を拡張でき,クラウドストレージ・サーバでの運用等への対応や,データ利用の国際化,オープンデータ化が可能となる.
以上が,5年間の課題遂行の上で検討した次期WIN伝送プロトコルの概要である.発表では、現状の到達点,問題点について示し,WINデータ伝送に関わるもしくは,新たな伝送プラットフォームに関心がある方々の意見を聞き取り,プロトコル(最終)策定に向ける.