日本地震学会2023年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S02. 地震計測・処理システム

[S02P] PM-P

2023年11月1日(水) 17:00 〜 18:30 P12会場(F203) (アネックスホール)

[S02P-08] SITES法によるスマトラ断層の断層面推定(3)

*山品 匡史1、大久保 慎人1、田部井 隆雄1 (1. 高知大学)

我々は、インドネシア、スマトラ島北部のスマトラ断層の断層面を推定するために断層近傍で得られた地震波形記録に地震波干渉法による地下構造推定法であるSITES法(Seismic Interferometry Tomography for the Estimation of tectonic Structure)(大久保, 2009)を適用し、断層面からの反射波と考えられる信号が抽出できることを報告している(Yamashina et al., 2019;山品・他, 2020, 2021)。解析に用いたSITES法は、地震波干渉法を実際の反射波の到来方向である受震点―発震点方向について適用するために3成分の記録全てを用いるように発展させた解析手法であり、地震波反射面(例:断層、帯水層)の空間的な広がりを単独観測点での記録からも評価可能である利点を持つ。解析には、2011-2015年にスマトラ島北端部Aceh州を中心にスマトラ断層のセグメントであるAceh、Seulimeumの両セグメント近傍で行われた臨時地震観測で得られた3成分連続速度記録を用いた。
既報の反射面については、スマトラ断層の位置や地下構造が明確でないこと、また適切な観測・解析条件の検討が十分になされておらず、結果の妥当性の評価に問題が残っていた。そこで、山品・他(2023)では、反射面(断層)や地下構造の情報が反射法地震探査や地質調査などからある程度得られている中央構造線断層帯近傍での観測記録に対し解析条件を変えてSITES法を適用し、観測や解析における制約条件を検討した。その結果、
・ 自己相関関数を計算する際のラグ(lag)による影響はあまり見られないことから,想定する対象までの距離に応じて設定すれば良い。すなわち、感度の許すかぎりの対象範囲設定が可能
・ 速度記録および加速度記録における差は見られない
・ 深夜帯や郊外、日祝日など都市型振動(人的活動)(例えば、相澤・他(2008))が大きくない場合、反射法などで明瞭はフェーズが見られるようなものが対象ならば、1時間以上の観測で示唆する結果が得られる可能性がある、
などが分かった。
今回、
(1)スマトラ断層近傍での観測記録に対して山品・他(2023)と同様の条件での解析を行うことで評価対象事例を増やし、その適切性を評価
(2) スマトラ断層Aceh、Seulimeumの両セグメントに対し、(1)をもとに改めてSITES法による断層面探索
を行ったので、本発表ではこれらの結果について示す。

謝辞:
本研究では、科研費JP24403005、JP17H04577によって得られたデータや成果を利用しました。

文献:
相澤隆生・他, 2008, 物理探査, 61, 121-132, doi:10.3124/segj.61.121
大久保慎人, 2009, JpGU 2019, S157-015
Yamashina, T. et al., 2019, AGU Fall 2019, S11D-0373
山品匡史・他, 2020, SSJ Fall 2020, S10P-12
山品匡史・他, 2021, SSJ Fall 2021, S16P-11
山品匡史・他, 2023, JpGU 2023, STT41-P04