[S04P-01] Effect of the hot plume on the bending of the Philippine Sea slab beneath Kyushu (3)
1.はじめに
九州下に沈み込んでいるフィリピン海(PHS)プレートは、深さ80~100 km辺りで、急激に高角に沈み込んでいる(例えば、Wang and Zhao, 2006)。この原因として、北西九州下に12Ma頃から存在したといわれているホットプルームが南東方向に水平に流れ、スラブを「く」の字型に押し曲げた可能性が指摘されている(Shinjo et al., 2000)。 しかしながら、沈み込んだPHSプレートがこのように急激に折れ曲がる要因について未だ定量的に示された研究はない。本研究では、北西九州下から湧昇してきたホットプルームが、九州下に沈み込むPHSプレートの急激な屈曲に及ぼす影響について、数値シミュレーションを用いて定量的に評価することを試みた。本発表では香西他(2022, 日本地震学会)のモデルにさらに改良を加え、モデル領域の拡張やそれに伴うPHSプレートの沈み込み、初期温度分布に改良を加え、モデリングを実行したので、その結果について報告する。
2.モデル設定
本研究では、Torii and Yoshioka(2007)による手法を用いて、2次元箱型熱対流モデルを構築した。 本モデルでは、北西九州下から湧昇するホットプルームと九州の南東沖から沈み込むPHSプレートを数値シミュレーションで再現した(図1)。九州の南東沖の海溝から北西九州を通る測線に沿って計算を行った。モデル領域は水平方向1000km、深さ方向800kmとし、流線の格子数はそれぞれ100、80とした。 ホットプルームに関しては、温度を固定した熱源を設定した。温度範囲はSakuyama et al.(2014)を参考にして、深さ約100~450kmで1475~1700℃程度となるように設定した。また、その熱源を、海溝(図1の水平距離300㎞の位置)から北西九州までの距離約400kmに相当する位置に配置した。 スラブに関しては、モデル領域の右側温度条件にプレート冷却モデル(McKenzie et al., 1969)を適用し、海溝軸から浅部では、PHSプレートの形状を模したガイドに沿ってプレートを沈み込ませ、その後、自由に振舞わせた。14Myrまで計算を行い、PHSプレートの沈み込み速度は、プレートの沈み込み史を考慮し、測線に沿って14Ma~3Maで5.1cm/yr、3Ma~0Maで6.4cm/yrとした。海溝における海底の年齢は、九州-パラオ海嶺が設定した測線を通過しないため、時間の経過とともに徐々に古くなるように設定した。 本講演では、このようなモデルを用いて、九州の南東部で、北西方向からほぼ水平に流れてきたホットプルームとPHSスラブが衝突した際、どのような条件下で、スラブが急激に折れ曲がるのかについて発表する予定である。
九州下に沈み込んでいるフィリピン海(PHS)プレートは、深さ80~100 km辺りで、急激に高角に沈み込んでいる(例えば、Wang and Zhao, 2006)。この原因として、北西九州下に12Ma頃から存在したといわれているホットプルームが南東方向に水平に流れ、スラブを「く」の字型に押し曲げた可能性が指摘されている(Shinjo et al., 2000)。 しかしながら、沈み込んだPHSプレートがこのように急激に折れ曲がる要因について未だ定量的に示された研究はない。本研究では、北西九州下から湧昇してきたホットプルームが、九州下に沈み込むPHSプレートの急激な屈曲に及ぼす影響について、数値シミュレーションを用いて定量的に評価することを試みた。本発表では香西他(2022, 日本地震学会)のモデルにさらに改良を加え、モデル領域の拡張やそれに伴うPHSプレートの沈み込み、初期温度分布に改良を加え、モデリングを実行したので、その結果について報告する。
2.モデル設定
本研究では、Torii and Yoshioka(2007)による手法を用いて、2次元箱型熱対流モデルを構築した。 本モデルでは、北西九州下から湧昇するホットプルームと九州の南東沖から沈み込むPHSプレートを数値シミュレーションで再現した(図1)。九州の南東沖の海溝から北西九州を通る測線に沿って計算を行った。モデル領域は水平方向1000km、深さ方向800kmとし、流線の格子数はそれぞれ100、80とした。 ホットプルームに関しては、温度を固定した熱源を設定した。温度範囲はSakuyama et al.(2014)を参考にして、深さ約100~450kmで1475~1700℃程度となるように設定した。また、その熱源を、海溝(図1の水平距離300㎞の位置)から北西九州までの距離約400kmに相当する位置に配置した。 スラブに関しては、モデル領域の右側温度条件にプレート冷却モデル(McKenzie et al., 1969)を適用し、海溝軸から浅部では、PHSプレートの形状を模したガイドに沿ってプレートを沈み込ませ、その後、自由に振舞わせた。14Myrまで計算を行い、PHSプレートの沈み込み速度は、プレートの沈み込み史を考慮し、測線に沿って14Ma~3Maで5.1cm/yr、3Ma~0Maで6.4cm/yrとした。海溝における海底の年齢は、九州-パラオ海嶺が設定した測線を通過しないため、時間の経過とともに徐々に古くなるように設定した。 本講演では、このようなモデルを用いて、九州の南東部で、北西方向からほぼ水平に流れてきたホットプルームとPHSスラブが衝突した際、どのような条件下で、スラブが急激に折れ曲がるのかについて発表する予定である。