[S05P-01] Ground surface temperature history reconstruction from borehole temperature data off-shore of the Kii Peninsula to Shikoku region
地表面温度の時間的変動は地下の温度プロファイルに影響を及ぼす.地殻熱流量を求める際には,地表面の温度変動は温度プロファイルへノイズを与えることになる.逆にこのノイズを,地表面の温度変動の情報をもたらすシグナルと考えることもできる.この考えに基づき,坑井温度プロファイルの解析を通して,過去の地表面温度の変動披瀝を推定することが可能となる.この "borehole climatology" は,ヨーロッパや北米において盛んに研究されてきた.しかし,日本を含むアジア地域のデータは乏しい.本発表では,日本周辺域に存在する坑井温度プロファイルを活用し,データの空白域を埋めようとするものである.地域差を考慮したグローバルな温度変動が明らかになる.
紀伊半島~四国周辺の地下水等観測施設 14 点における 600m の深さを原則とした観測井戸のデータ [小泉・他,2009] を用いて過去の地表面温度の変動披瀝の推定を行った.温度プロファイルを,Horner plot 法により補正し,この補正された温度データと新たに測定した熱伝導率を元に,Goto et al. [2009] による方法を用い,地表面温度履歴復元を行った.予察的に行った結果では,その場の地質構造・得られている柱状図や,他のデータなどとも調和的である.
最初の熱流量測定が 1957 年に行われて以来,精力的に測定が行われ,1970 年頃までには, 日本列島付近の熱流量分布の大まかな特徴が明らかになっている [山野・他,1997]. また,日本列島の地殻表層の温度構造を示すデータの一つとして,300m 以深の坑井の温度データによる地温勾配値のコンパイルがなされている [田中・他 (2019)].さらに,防災科学技術研究所の高感度地震観測網 (Hi-net) の掘削孔において温度検層が約 800 点においてなされ,地殻熱流量が調べられている [e.g., Matsumoto, 2008].しかし,依然として,紀伊半島~四国周辺の陸域の温度構造を規定するデータに乏しい.ここで得られた 地殻熱流量はこれらを補完するために重要な情報ももたらす.
紀伊半島~四国周辺の地下水等観測施設 14 点における 600m の深さを原則とした観測井戸のデータ [小泉・他,2009] を用いて過去の地表面温度の変動披瀝の推定を行った.温度プロファイルを,Horner plot 法により補正し,この補正された温度データと新たに測定した熱伝導率を元に,Goto et al. [2009] による方法を用い,地表面温度履歴復元を行った.予察的に行った結果では,その場の地質構造・得られている柱状図や,他のデータなどとも調和的である.
最初の熱流量測定が 1957 年に行われて以来,精力的に測定が行われ,1970 年頃までには, 日本列島付近の熱流量分布の大まかな特徴が明らかになっている [山野・他,1997]. また,日本列島の地殻表層の温度構造を示すデータの一つとして,300m 以深の坑井の温度データによる地温勾配値のコンパイルがなされている [田中・他 (2019)].さらに,防災科学技術研究所の高感度地震観測網 (Hi-net) の掘削孔において温度検層が約 800 点においてなされ,地殻熱流量が調べられている [e.g., Matsumoto, 2008].しかし,依然として,紀伊半島~四国周辺の陸域の温度構造を規定するデータに乏しい.ここで得られた 地殻熱流量はこれらを補完するために重要な情報ももたらす.