2:15 PM - 2:30 PM
[S06-04] Shallow crustal structure and slip tendency of normal faults
in the outer rise of the Japan Trench
日本海溝付近では,海溝型巨大地震が発生した後に,連動して巨大津波を引き起こすアウターライズ地震が発生している.例えば,海溝型地震である1896年明治三陸沖地震の後に,1933年に付近のアウターライズ地域では正断層型地震である昭和三陸沖地震が発生した.これらの地震の発生様式を解明するために,日本海溝アウターライズの浅部地殻構造を調査すること,そしてアウターライズで発達する正断層の現状解明することは重要な課題である.
日本海溝周辺における地質調査は長い間続けられていて,海底面下の構造を解明するのに多チャンネル反射法地震探査(MCS)が重要な役割を担っている.本研究は,日本海溝周辺において海洋研究開発機構(JAMSTEC)が1997年から取得したMCSデータおよび,東京大学大気海洋研究所が所有する可搬式MCSシステムを学術研究船に搭載し2019,2020,2022年3回の航海で取得したMCSデータに対し,深度変換などを施しMCS深度断面図を作成した.MCSデータを処理した結果,日本海溝アウターライズ地域広範囲の浅部地殻は,遠洋性堆積物・チャート・音響基盤層(玄武岩)の三つの層から成っていることが確認できた.そして正断層群が発達し,明瞭なホルスト・グラーベン(地塁・地溝)構造が発達している.注目すべきは,一部の地域でチャート層の反射面が消失し,音響基盤が異常に不連続で低周波数となる現象が確認した.プチスポット火山の存在によってMCS測線の音響基盤がかく乱されている現象は多数の先行研究でも報告されているが,今回は三陸沖付近で広範囲の音響基盤異常が確認されてた.
本研究はMorris et al.(1996)で提唱されたSlip tendency (Ts) を利用し日本海溝アウターライズに発達する正断層群の活動性を評価する.Ts は各断層面に作用するせん断応力と垂直応力の比であり,Ts 値が大きいほど断層は再活動し易く,地震発生のリスクも高いことが先行研究で報告されている.Ts の計算方法としては,まず地震の発震機構を用い,Yamaji et al. (2006)で提唱された応力インバージョン法を利用し断層周辺の応力場を推定する.使用する地震発震機構データはJAMSTECが日本海溝周辺に設置した海底地震計(Obana et al. 2018, 2019, 2021)および防災科研(NIED)の広帯域地震観測網(F-net)によって記録されている,岩手沖及び宮城沖のアウターライズで発生した地震のメカニズム解データである.その後,MCS深度断面図及び海底地形図を利用し断層の方位角及び傾斜角を測定することで,断層面に作用するせん断応力と垂直応力を求める.
日本海溝周辺の海底地形図とMCSデータを分析した結果,1)日本海溝周辺の断層の走向分布は海溝軸方向,磁気異常線方向,磁気異常線と垂直する方向の三つに集中している;2)西傾斜を持つ断層は東傾斜を持つ断層より高いTs を持つ傾向がある;3)東北沖地震影響の領域では高いTs を持つ断層の割合が高いことが分かった.
日本海溝周辺における地質調査は長い間続けられていて,海底面下の構造を解明するのに多チャンネル反射法地震探査(MCS)が重要な役割を担っている.本研究は,日本海溝周辺において海洋研究開発機構(JAMSTEC)が1997年から取得したMCSデータおよび,東京大学大気海洋研究所が所有する可搬式MCSシステムを学術研究船に搭載し2019,2020,2022年3回の航海で取得したMCSデータに対し,深度変換などを施しMCS深度断面図を作成した.MCSデータを処理した結果,日本海溝アウターライズ地域広範囲の浅部地殻は,遠洋性堆積物・チャート・音響基盤層(玄武岩)の三つの層から成っていることが確認できた.そして正断層群が発達し,明瞭なホルスト・グラーベン(地塁・地溝)構造が発達している.注目すべきは,一部の地域でチャート層の反射面が消失し,音響基盤が異常に不連続で低周波数となる現象が確認した.プチスポット火山の存在によってMCS測線の音響基盤がかく乱されている現象は多数の先行研究でも報告されているが,今回は三陸沖付近で広範囲の音響基盤異常が確認されてた.
本研究はMorris et al.(1996)で提唱されたSlip tendency (Ts) を利用し日本海溝アウターライズに発達する正断層群の活動性を評価する.Ts は各断層面に作用するせん断応力と垂直応力の比であり,Ts 値が大きいほど断層は再活動し易く,地震発生のリスクも高いことが先行研究で報告されている.Ts の計算方法としては,まず地震の発震機構を用い,Yamaji et al. (2006)で提唱された応力インバージョン法を利用し断層周辺の応力場を推定する.使用する地震発震機構データはJAMSTECが日本海溝周辺に設置した海底地震計(Obana et al. 2018, 2019, 2021)および防災科研(NIED)の広帯域地震観測網(F-net)によって記録されている,岩手沖及び宮城沖のアウターライズで発生した地震のメカニズム解データである.その後,MCS深度断面図及び海底地形図を利用し断層の方位角及び傾斜角を測定することで,断層面に作用するせん断応力と垂直応力を求める.
日本海溝周辺の海底地形図とMCSデータを分析した結果,1)日本海溝周辺の断層の走向分布は海溝軸方向,磁気異常線方向,磁気異常線と垂直する方向の三つに集中している;2)西傾斜を持つ断層は東傾斜を持つ断層より高いTs を持つ傾向がある;3)東北沖地震影響の領域では高いTs を持つ断層の割合が高いことが分かった.