日本地震学会2023年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S07. 地球及び惑星の内部構造と物性

[S07P] PM-P

2023年11月1日(水) 17:00 〜 18:30 P7会場 (F201・3側フォワイエ) (アネックスホール)

[S07P-01] NASA Dragonflyミッションにおける土星衛星タイタンでの地震観測計画

*小野寺 圭祐1、田中 智2、白石 浩章2、川村 太一3、三谷 烈史2、村上 英記4、山田 竜平5、鎌田 俊一6、木村 淳7、黒川 宏之8、関根 康人8、西田 究1、辻 健9、パニング マーク10、ローレンツ ラルフ11 (1. 東京大学地震研究所、2. JAXA宇宙科学研究所、3. パリ地球物理研究所、4. 高知大学、5. 会津大学、6. 北海道大学、7. 大阪大学、8. 東京工業大学地球生命研究所、9. 東京大学工学部、10. Jet Propulsion Laboratory, California Institute of Technology 、11. Applied Physics Laboratory, Johns Hopkins University)

アポロ計画における月での地震観測(1969-1977)を皮切りに地球以外での地震活動やその内部構造に関する研究分野が萌芽した。近年, NASAのInSightミッションにて火星での地震観測(2018–2022)が成功を収めたことで, 現在惑星地震学は大きな発展期を迎えている。こうした状況の中, 2030年代に土星衛星のタイタンを探査するNASAのDragonflyミッションにてJAXAの短周期地震計の搭載が計画されており, 人類初となる氷衛星での地震観測が現実味を帯びてきている。
 
土星衛星タイタンでは, 過去のリモートセンシング探査や地上観測により表面に液体が安定的に存在し, 大気には生命の源となる窒素やメタンが豊富に存在することが知られている。こうした環境は原始地球に似通っており, タイタンを探査することで宇宙における生命存在可能性だけでなく, 地球における生命発生プロセスへの理解が進むことが期待される。Dragonflyミッションでは, 大型のドローンを用いた離着陸探査を想定しており(図1a), その名の通りトンボのようにタイタン表面を転々としながら化学分析・気象観測・地球物理観測を実施することで, 生命前駆物質の存在量やそれらの物質の生成を促す環境を明らかにすることを目標としている。特に我々のチームは地球物理観測の地震観測を担当し, タイタンの表層および深部の構造推定を試みる(図1b)。

本発表ではDragonflyミッションの概要とともに, 我々の開発した地震計の紹介, 現状タイタンで想定されている地震活動について議論する。