10:30 AM - 10:45 AM
[S08-20] Stress drop variations of repeating earthquakes
注水実験で検出された繰り返し地震(リピータ)では、マグニチュードが1以上異なるイベントが同一のグループ内で発生するという報告がある(Bourouis & Bernard, GJI, 2007; Lengline+, JGR, 2014; Cauchie+, GJI, 2020)。これらの研究では、波形相関と震源域の重なりの2つの基準でリピーター判定がなされており、実際に同一のグループでマグニチュードの異なるイベントが発生していると考えられる。このことは、同一の孤立したアスペリテイパッチで応力降下量の異なるイベントが発生することを示している。一方、自然地震については、同様な報告がいくつかある(Harrington & Brodsky, BSSA, 2009; Bouchon+, Science, 2011; Lin+,GJI, 2016)が、これらの研究では波形相関と震源域の重なりの2つの基準でリピータ判定をしておらず、近接して発生した地震が含まれている可能性がある。最近、Nakajima & Hasegawa (JGR, 2023)は喜多方群発地震及び2003年宮城県沖地震の余震の中のリピータについて調査し、同じグループ内で応力降下量が1桁以上変化するリピータが確かにあることを明らかにした。
本研究ではNakajima & Hasegawa (2023)の対象を広範囲に広げ、日本列島全域を対象としてプレート境界地震、スラブ内地震、内陸地震の全てのリピータを系統的に調査した。その結果、いずれの領域においても同一のリピータグループでマグニチュードの異なるイベントが発生している事例が多数あることが明らかになった。応力降下量の異なるイベントが同一のアスペリテイパッチで発生する原因は、間隙流体圧の時間変化に伴う有効法線応力の違いにあると推定される。また、同一グループのマグニチュードの差は大きくて2程度であり、これは応力降下量で3桁の差に対応する。このことは、通常の地震で見積もられている3桁程度の応力降下量のばらつきの主な原因の一つが間隙流体圧の違いであることを示唆している。
本研究ではNakajima & Hasegawa (2023)の対象を広範囲に広げ、日本列島全域を対象としてプレート境界地震、スラブ内地震、内陸地震の全てのリピータを系統的に調査した。その結果、いずれの領域においても同一のリピータグループでマグニチュードの異なるイベントが発生している事例が多数あることが明らかになった。応力降下量の異なるイベントが同一のアスペリテイパッチで発生する原因は、間隙流体圧の時間変化に伴う有効法線応力の違いにあると推定される。また、同一グループのマグニチュードの差は大きくて2程度であり、これは応力降下量で3桁の差に対応する。このことは、通常の地震で見積もられている3桁程度の応力降下量のばらつきの主な原因の一つが間隙流体圧の違いであることを示唆している。