日本地震学会2023年度秋季大会

講演情報

A会場

一般セッション » S09. 地震活動とその物理

[S09] AM-1

2023年11月2日(木) 09:15 〜 10:30 A会場 (F205+206)

座長:熊澤 貴雄(統計数理研究所)、松浦 律子(地震予知総合研究振興会)

09:15 〜 09:30

[S09-09] 点過程モデルから見える能登半島群発地震活動の時空間変動について

*熊澤 貴雄1、尾形 良彦1 (1. 統計数理研究所)

能登半島では2018年ごろから地震回数が増加傾向にあり,2020年11月末から流体貫入による地震活動が活発化して現在に至っている.これらの活動は大きく4つの震央クラスターに分かれ,従来から活動していた南東部領域では2020年11月末に14km以深へ移動した.以降,他3領域で順次活発化し、2023年5月5日に活動領域の北辺においてM6.5が発生した。我々の研究では各領域の群発地震活動に非定常ETASモデル (Kumazawa and Ogata, 2014) 及び2次元デロネ型関数を用いたABICによる最適なベイズ的平滑化 HIST-PPMを当て嵌め、群発地震の発生からM6.5に至る地震発生パターンの時空間的特徴を調査した。 流体の供給源と考えられる南東部領域では、浅部の活動は初め領域の中央付近に分布していたが,2020年11月30日に活動が深部へ移動した際に静穏化した.この時の深部活動は浅部の地震群をとり囲むようにドーナツ状に活発化した.南東部領域深部の活発化以降、流体の拡散に伴って2ヵ月から3ヵ月遅れて先ず西部領域の活動度が上がり,次いで北部および北東部領域の地震活動度が順次上昇した.これらの領域の背景地震活動は、各領域の地殻変化を良く反映していると思われるGNSS 観測時系列の変動パターンと比較的対応が付く.これらの領域におけるb値分布は複雑な形状をしており、M6.5とその最大余震M5.9は共にb値が高く、それ以前の活動が比較的疎な領域で発生した。 M6.5発生前後で南東部領域の地震が活動領域を北東方向へ拡大する現象が見られた.