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[S09-26] 2011年東北沖地震前後の日本海溝北部における通常地震と浅部テクトニック微動の連動活動
日本海溝沈み込み帯の北部では,2011年東北沖地震前後のプレート境界のすべり挙動について詳細に研究が行われている.例として,スロー地震の一種である超低周波地震(以下,VLFE)の活動度の増加が報告されている[Baba et al., 2020].スロー地震の別のタイプであるテクトニック微動(以下,微動)の東北沖地震以前の活動については,Takahashi et al. [in prep]により解析され,活動度の変化は議論されていないが,東北沖地震後とほぼ同じ空間分布を示すことが明らかとなった.我々は,微動源のごく近傍で通常地震(以下,地震)が発生すること,微動と地震が時空間的に連動する傾向があることを示してきた [Matsumoto et al., 2022; 2023].本研究では微動―地震の連動性に着目し,連動活動の様式が東北沖地震前後で変化しているかを明らかにすることを目的とする.
解析対象期間は2007年10月〜2008年6月(以下,期間Ⅰ)と2016年8月〜2022年7月(以下,期間Ⅱ)である.期間Ⅰでは,日本海溝北部に設置された47個の自己浮上式海底地震計のデータを用いてTakahashi et al. [in prep]がエンベロープ相関法によりイベント検知と震源決定を行っている.彼らは,検知したイベントを継続時間の違いにより微動(30秒以上)と地震(20秒以下)に分類している.本研究では,地震と分類されたイベントについて,PおよびS波の到達時刻を検測しDouble-Difference(DD)法を用いて震源再決定した.期間Ⅱでは,Ohyanagi et al. [2022] により得られた微動と地震の震源情報を用いた.彼らは,日本海溝北部に設置されているS-net観測点の2016年8月〜2022年7月の連続波形にエンベロープ相関法を適用してイベントの検出を行った後,地震探査由来の震動イベントを除去して,微動および地震の候補となるイベントのカタログを作成した.それとは独立に,連続波形に対して深層学習を応用した地震検出を行なって,上記のイベントカタログから検知された地震を除外した上で時空間クラスタリングを適用することで微動カタログが得られている.本研究では,地震と認定されたイベントについての震源を,検知時に検測されたP・Sの到達時刻をもとにDD法により再決定を行い,期間Iでの微動検出基準と同じ継続時間が30秒以上の微動との連動性を解析した.
期間Ⅰでは,ほとんどの微動バーストが群発地震を伴っていた.また,期間Ⅰで群発地震との関連性が確認された領域では,期間Ⅱでも群発地震との関連性が確認されることが多かった.しかし,期間Ⅱでは微小地震の活発化を伴わない微動バーストも多く見られた.地震が連動する頻度の違いが意味することを議論するためには,この変化が東北沖地震とその余効すべりの影響によるものなのか,それとも沈み込み帯がもつ固有の多様性を反映したものなのかを区別する必要がある.そのためには,群発地震を伴う微動バーストと伴わない微動バーストに分類し,それらの時空間的な分布に注目して,それぞれの特徴を明らかにする必要がある.
解析対象期間は2007年10月〜2008年6月(以下,期間Ⅰ)と2016年8月〜2022年7月(以下,期間Ⅱ)である.期間Ⅰでは,日本海溝北部に設置された47個の自己浮上式海底地震計のデータを用いてTakahashi et al. [in prep]がエンベロープ相関法によりイベント検知と震源決定を行っている.彼らは,検知したイベントを継続時間の違いにより微動(30秒以上)と地震(20秒以下)に分類している.本研究では,地震と分類されたイベントについて,PおよびS波の到達時刻を検測しDouble-Difference(DD)法を用いて震源再決定した.期間Ⅱでは,Ohyanagi et al. [2022] により得られた微動と地震の震源情報を用いた.彼らは,日本海溝北部に設置されているS-net観測点の2016年8月〜2022年7月の連続波形にエンベロープ相関法を適用してイベントの検出を行った後,地震探査由来の震動イベントを除去して,微動および地震の候補となるイベントのカタログを作成した.それとは独立に,連続波形に対して深層学習を応用した地震検出を行なって,上記のイベントカタログから検知された地震を除外した上で時空間クラスタリングを適用することで微動カタログが得られている.本研究では,地震と認定されたイベントについての震源を,検知時に検測されたP・Sの到達時刻をもとにDD法により再決定を行い,期間Iでの微動検出基準と同じ継続時間が30秒以上の微動との連動性を解析した.
期間Ⅰでは,ほとんどの微動バーストが群発地震を伴っていた.また,期間Ⅰで群発地震との関連性が確認された領域では,期間Ⅱでも群発地震との関連性が確認されることが多かった.しかし,期間Ⅱでは微小地震の活発化を伴わない微動バーストも多く見られた.地震が連動する頻度の違いが意味することを議論するためには,この変化が東北沖地震とその余効すべりの影響によるものなのか,それとも沈み込み帯がもつ固有の多様性を反映したものなのかを区別する必要がある.そのためには,群発地震を伴う微動バーストと伴わない微動バーストに分類し,それらの時空間的な分布に注目して,それぞれの特徴を明らかにする必要がある.