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[S09-27] 北海道沖千島海溝での浅部微動分布に相関する構造
最近の研究で浅部微動は沈み込む海洋地殻上の海山や海嶺と空間的な関係を持って発生していることが示されている。浅部微動は、沈み込み帯のプレート境界変形プロセスの内最も浅い場所で発生するイベントの一つで、条件付き安定領域で発生する。浅部微動の発生にはプレート境界の摩擦や力学的な条件が関わっていると考えられている。これらの条件がプレート境界の不均質構造、例えば海山の沈み込み、で満たされることで浅部微動が発生する可能性が指摘されている。北海道沖の千島海溝では浅部微動が活発に観測される領域と観測されない領域が存在している。しかしながら、これまで浅部微動が発生する領域の沈み込む海洋地殻では十分な解像度で調査が行われておらず、海山や海嶺を示唆する明らかな構造は得られていない。例えば、先行研究で行われた屈折法地震探査は浅部微動の分布域を海溝平行方向に横断しているが海山などを示唆する速度構造は得られていない。本研究では、海底面から海洋地殻上面まで浅部微動と空間的な関係をもつ構造を調査するために、JAMSTECで取得した海溝垂直方向の7測線に沿った反射法地震探査の結果を利用した。我々の結果は、最大で深度20kmまでの沈み込んだ海洋地殻海洋地殻上面の構造を鮮明に示し、沈み込んだ後の海洋地殻上面にみられる凹凸がTremorの分布と極めて良い相関を持つことを示している。凹凸の大きさは海洋地殻の長周期トレンドを取り除いた曲線と観測された海洋地殻上面の差の二乗和平方根をとることで定量化した。沈み込む海洋地殻の凹凸が大きい領域で浅部微動が活発に観測され、小さな領域ではほとんど観測されないことが明らかになった。本研究ではその他に次の構造を定量化した。それは、堆積盆地の堆積物の厚さ、堆積物基盤の深度、Frontal prismの長さと厚さ、Reflective zoneの位置と長さ及び厚さである。しかしながらこれらの構造と浅部微動に明確な相関はみられなかった。