[S09P-05] 南西琉球海溝における23年間の超低周波地震活動の変化
琉球海溝南西部では超低周波地震(VLFE)が定常的に発生している(Nakamura and Sunagawa, 2015)。VLFEの活動はプレート間結合の状態や沈み込むプレート面の摩擦状態を反映していると考えられる。そこで、長期的なVLFE活動を調査し、琉球海溝南西部でのプレート間すべりの状態を明らかにした
VLFEの検出はF-NetとBATSの広帯域地震波形記録を使用した。期間は2000年から2022年である。テンプレートマッチング法でVLFEを検出した。各観測点での3成分波形を0.02-0.05Hzでバンドパスフィルタリングし、テンプレート地震との相互相関を計算した。テンプレート地震には、通常の低角逆断層型地震とVLFEを用いた。気象庁のカタログに掲載された地震と遠地地震を除去した後、相互相関が0.6以上のイベントをVLFEと判定した。VLFEのマグニチュードと頻度分布の関係をもとに、Magnitude completenessを3.6とした。
得られたVLFEは海溝軸に沿ってスラブ深度10-15 kmで分布していた。123.0°E〜124.25°Eではスラブ深度15 kmにVLFEが集中しており、この領域でのVLFE活動は非常に活発であった。一方、124.25°~125.25°Eでは、VLFEがスラブ深度10 kmに分布していた。VLFE活動は2000~2004年と2015~2019年に特に活発で、2000~2004年の活発化は123.0°E~124.0°Eで最も顕著で、2015年は123.0°E~125.0°Eで広範囲で活発化した。
琉球弧南部では,2002-2006年と2013年以降に西表島周辺の地震活動とスロースリップイベントの発生率が増加した(Nakamura and Kinjo, 2018; Tu and Heki, 2017)。この活動増加は、それぞれ2002年のアフタースリップと沖縄トラフでの2013年のダイク貫入によって引き起こされた。しかし2002年のアフタースリップが発生した時、VLFEは既に活発であった。また2015年のVLFE活発化と2013年のダイク貫入は2年ずれている。2015年には台湾東方沖でM6.4の地震が発生した。そのタイミングはVLFEの活発化と一致している。しかし、このM6.4の地震によるVLFE発生領域での応力変化は1 kPa未満で、VLFE活動の活発化には不十分であった。同様に、2002年以前からVLFEが活発であった可能性があり、琉球弧の地殻活動を活性化させた要因以外でVLFEが活発化してきた可能性がある。このことは、プレート間カップリングの変化や長期的スロースリップ現象が南西琉球海溝軸付近で時折発生していた可能性を示唆しているかもしれない。
VLFEの検出はF-NetとBATSの広帯域地震波形記録を使用した。期間は2000年から2022年である。テンプレートマッチング法でVLFEを検出した。各観測点での3成分波形を0.02-0.05Hzでバンドパスフィルタリングし、テンプレート地震との相互相関を計算した。テンプレート地震には、通常の低角逆断層型地震とVLFEを用いた。気象庁のカタログに掲載された地震と遠地地震を除去した後、相互相関が0.6以上のイベントをVLFEと判定した。VLFEのマグニチュードと頻度分布の関係をもとに、Magnitude completenessを3.6とした。
得られたVLFEは海溝軸に沿ってスラブ深度10-15 kmで分布していた。123.0°E〜124.25°Eではスラブ深度15 kmにVLFEが集中しており、この領域でのVLFE活動は非常に活発であった。一方、124.25°~125.25°Eでは、VLFEがスラブ深度10 kmに分布していた。VLFE活動は2000~2004年と2015~2019年に特に活発で、2000~2004年の活発化は123.0°E~124.0°Eで最も顕著で、2015年は123.0°E~125.0°Eで広範囲で活発化した。
琉球弧南部では,2002-2006年と2013年以降に西表島周辺の地震活動とスロースリップイベントの発生率が増加した(Nakamura and Kinjo, 2018; Tu and Heki, 2017)。この活動増加は、それぞれ2002年のアフタースリップと沖縄トラフでの2013年のダイク貫入によって引き起こされた。しかし2002年のアフタースリップが発生した時、VLFEは既に活発であった。また2015年のVLFE活発化と2013年のダイク貫入は2年ずれている。2015年には台湾東方沖でM6.4の地震が発生した。そのタイミングはVLFEの活発化と一致している。しかし、このM6.4の地震によるVLFE発生領域での応力変化は1 kPa未満で、VLFE活動の活発化には不十分であった。同様に、2002年以前からVLFEが活発であった可能性があり、琉球弧の地殻活動を活性化させた要因以外でVLFEが活発化してきた可能性がある。このことは、プレート間カップリングの変化や長期的スロースリップ現象が南西琉球海溝軸付近で時折発生していた可能性を示唆しているかもしれない。