[S11P-01] 地震に伴う地鳴り現象の解明に向けて(その3)-可聴となる地鳴り記録の解析結果-
概要
古来より、地震動に伴って地鳴りを感じたという記録は日本だけでなく中国や英国等の文献にも見受けられる。しかし地鳴りの成因は明らかでなく、デジタル処理による地震と地鳴りの同時記録および解析は寡聞にして当グループ以外の実施を知らない。関根・他(2018)では東京大学地震研究所筑波地震観測所の建屋内部で収録された音を使って解析を行なったが、地震によって生じた地鳴りと地震の揺れで建物が揺れた音(家鳴り)が混在しており、地鳴りそのものの音を取得したかどうかには検討の余地があった。本研究では屋外にて地震と地鳴りの同時観測を実施し、その音圧が可聴域を超えた(=地鳴りとして聞こえたと推定できる)事例を得たので報告する。
観測システムの概要
東京大学地震研究所筑波地震観測所の中庭に既報(大竹・他2016)の通りのシステムを設置し、観測を行なっている。ただし、
・屋外での観測としたこと
・20Hzから8kHzまでフラットな特性のマイクでの観測としたこと
・マイク4式を立体的に配置したこと
という改善を加えている。
観測された地鳴りについて
2023年7月22日10:52に発生した茨城県沖の地震(M4.8, 深さ52km)において地震に伴う音声を収録することができた。P波に対応する時間の音声を切り出し、FFTをかけて周波数領域での信号強度を得る。これを音圧に対応させ、ISO 226:2003に示される最小可聴値と比較した。 添付図は観測された地鳴りのP波に相当する部分のフーリエ解析結果である。黒線は地震が発生していない状況での音声(通常時のノイズに相当)、赤線が今回の地震に伴う音声である。1~100Hzにかけて大きく音圧が出ていることがわかる。青点線はISO 226:2003による最小可聴値であり、おおむね20Hz以上で可聴値を超えていることがわかる。すなわち、現地にいれば地鳴りとして聞こえたと推定できる。また、本観測は屋外で実施しているため家鳴りの影響はないと考えられる。 本発表ではこの地鳴りについてのさらに詳細な解析結果を示す予定である。
謝辞
本研究のシステム開発にあたっては、JSPS 科研費 15H00316 の助成を受けました。合わせて JSPS 科研費 15K12394, 19K03173 の一部も使用しました。
古来より、地震動に伴って地鳴りを感じたという記録は日本だけでなく中国や英国等の文献にも見受けられる。しかし地鳴りの成因は明らかでなく、デジタル処理による地震と地鳴りの同時記録および解析は寡聞にして当グループ以外の実施を知らない。関根・他(2018)では東京大学地震研究所筑波地震観測所の建屋内部で収録された音を使って解析を行なったが、地震によって生じた地鳴りと地震の揺れで建物が揺れた音(家鳴り)が混在しており、地鳴りそのものの音を取得したかどうかには検討の余地があった。本研究では屋外にて地震と地鳴りの同時観測を実施し、その音圧が可聴域を超えた(=地鳴りとして聞こえたと推定できる)事例を得たので報告する。
観測システムの概要
東京大学地震研究所筑波地震観測所の中庭に既報(大竹・他2016)の通りのシステムを設置し、観測を行なっている。ただし、
・屋外での観測としたこと
・20Hzから8kHzまでフラットな特性のマイクでの観測としたこと
・マイク4式を立体的に配置したこと
という改善を加えている。
観測された地鳴りについて
2023年7月22日10:52に発生した茨城県沖の地震(M4.8, 深さ52km)において地震に伴う音声を収録することができた。P波に対応する時間の音声を切り出し、FFTをかけて周波数領域での信号強度を得る。これを音圧に対応させ、ISO 226:2003に示される最小可聴値と比較した。 添付図は観測された地鳴りのP波に相当する部分のフーリエ解析結果である。黒線は地震が発生していない状況での音声(通常時のノイズに相当)、赤線が今回の地震に伴う音声である。1~100Hzにかけて大きく音圧が出ていることがわかる。青点線はISO 226:2003による最小可聴値であり、おおむね20Hz以上で可聴値を超えていることがわかる。すなわち、現地にいれば地鳴りとして聞こえたと推定できる。また、本観測は屋外で実施しているため家鳴りの影響はないと考えられる。 本発表ではこの地鳴りについてのさらに詳細な解析結果を示す予定である。
謝辞
本研究のシステム開発にあたっては、JSPS 科研費 15H00316 の助成を受けました。合わせて JSPS 科研費 15K12394, 19K03173 の一部も使用しました。