10:30 AM - 10:45 AM
[S15-05] Effect of station density on the maximum observed seismic motion
近年、これまで知られていなかった様な極めて大きな地震動、いわゆる極大地震動が頻繁に取得されている。1995年兵庫県南部地震以降の25年余りに、K-NET及びKiK-netだけでも、最大加速度PGA(3成分合成、以下同様)が1000galを越える記録が50記録、最大速度PGVが50cn/sを越える記録が110記録、観測されている。また、様々な機関により、相当値を含め震度7は少なくとも14回(正式な震度としては6回)観測されている。
大きな地震動が記録されるようになった要因として、地震活動(特にマグニチュードの大きな地震の発生状況)や観測機器の高性能化(以前に比べ高周波まで観測可能となった)などが考えられるが、なかでも、阪神・淡路大震災を契機に強震観測点の数が増え、震源近傍においてお強震動が観測される機会が劇的に増加したことが大きく貢献していると考えられる。強震動の分布は、震源から放射された地震波エネルギー量だけでなく、放射特性、指向性、伝播特性、増幅特性など様々な要因が重なり合い、複雑な様相を示す。強震動の上限を知ることは強震動地震学の究極の課題の一つであるが、強震動の上限を捉えるためにどの程度の空間的密度の観測が必要であるかを定量的に把握することは、十分な観測密度で観測を行わない限り、極めて困難である。
本講演では、自治体震度情報ネットワークにより取得された計測震度値のデータベースをもとに、観測点密度が観測される地震動の最大値に与える影響を評価する。自治体震度情報ネットワークは、気象庁(約670地点)、防災科研K-NETのうち約800地点、都道府県等の自治体(約2900地点)の合計約4370地点からなる、世界で最も高密度な全国規模の震度観測網である。ある地震で観測された全地点の計測震度を対象に、乱数により観測地点を選択された際の計測震度の最大値を評価することで、任意の数の観測網により観測されることが期待される計測震度の最大値のシミュレーションをモンテカルロ法により行う。例えば、1500点近くの地点で計測震度が計測された2004年新潟県中越地震では、新潟県の自治体震度計で震度7(計測震度6.5)が観測されたが、1990年代前半の震度観測点数である150点を仮定した試行回数10,000回のモンテカルロシミュレーションでは中央値が計測震度5.3となった。つまり、震度7の地震が、1990年代前半の震度観測密度は震度5強程度と評価された可能性があるということを示している。本講演では様々な地震を対象に、モンテカルロシミュレーションにより観測点密度が観測される最大計測震度に与える影響を評価する。
謝辞:気象庁、防災科研、都道府県等の自治体により観測された計測震度をもとに気象庁によりとりまとめられた震度データベースを使用しました。記して感謝いたします。
大きな地震動が記録されるようになった要因として、地震活動(特にマグニチュードの大きな地震の発生状況)や観測機器の高性能化(以前に比べ高周波まで観測可能となった)などが考えられるが、なかでも、阪神・淡路大震災を契機に強震観測点の数が増え、震源近傍においてお強震動が観測される機会が劇的に増加したことが大きく貢献していると考えられる。強震動の分布は、震源から放射された地震波エネルギー量だけでなく、放射特性、指向性、伝播特性、増幅特性など様々な要因が重なり合い、複雑な様相を示す。強震動の上限を知ることは強震動地震学の究極の課題の一つであるが、強震動の上限を捉えるためにどの程度の空間的密度の観測が必要であるかを定量的に把握することは、十分な観測密度で観測を行わない限り、極めて困難である。
本講演では、自治体震度情報ネットワークにより取得された計測震度値のデータベースをもとに、観測点密度が観測される地震動の最大値に与える影響を評価する。自治体震度情報ネットワークは、気象庁(約670地点)、防災科研K-NETのうち約800地点、都道府県等の自治体(約2900地点)の合計約4370地点からなる、世界で最も高密度な全国規模の震度観測網である。ある地震で観測された全地点の計測震度を対象に、乱数により観測地点を選択された際の計測震度の最大値を評価することで、任意の数の観測網により観測されることが期待される計測震度の最大値のシミュレーションをモンテカルロ法により行う。例えば、1500点近くの地点で計測震度が計測された2004年新潟県中越地震では、新潟県の自治体震度計で震度7(計測震度6.5)が観測されたが、1990年代前半の震度観測点数である150点を仮定した試行回数10,000回のモンテカルロシミュレーションでは中央値が計測震度5.3となった。つまり、震度7の地震が、1990年代前半の震度観測密度は震度5強程度と評価された可能性があるということを示している。本講演では様々な地震を対象に、モンテカルロシミュレーションにより観測点密度が観測される最大計測震度に与える影響を評価する。
謝辞:気象庁、防災科研、都道府県等の自治体により観測された計測震度をもとに気象庁によりとりまとめられた震度データベースを使用しました。記して感謝いたします。