The 2023 SSJ Fall Meeting

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Room D

Regular session » S15. Strong ground motion and earthquake disaster

[S15] PM-1

Wed. Nov 1, 2023 1:30 PM - 3:00 PM Room D (F204)

chairperson:Atsuko OANA, Yosuke Nagasaka(Port and Airport Research Institute)

1:45 PM - 2:00 PM

[S15-12] Source process characteristics of the 2023 Turkey earthquake (Mw 7.7) inferred from pulse-like near-fault ground motions

*Yosuke NAGASAKA1, Atsushi Nozu1 (1. Port and Airport Research Institute)

2023年2月6日に発生したトルコ地震(Mw 7.7, AFAD)では東アナトリア断層に沿った断層近傍で強震動が多く記録された.これらの強震動を調べることで強震動の特徴だけでなくその発生要因についても知見を得ることができ,被害分析や今後の強震動予測の参考になると考えられる.大地震では複雑な震源過程が強震動に影響を与えることが知られているが,トルコ地震の断層近傍記録を見るとその多くがパルス状の速度波形に代表される比較的シンプルな特徴を示しており,震源過程にについても同様にシンプルなモデルで代表的な波形の特徴を捉えられると期待される.一方,波形の振幅や形状は地点や区間によって少しずつ異なり,震源過程を反映しているものと考えられる.そこで,本検討では2023年トルコ地震(Mw 7.7)の断層近傍強震動の生成について調べることを目的として,フォワードモデリングによる震源過程のモデル化を行った.インバージョンによる震源過程解析はある定式化の下で最適な解を得られるという利点があるが,本検討ではフォワードモデリングによるシンプルな震源過程から強震動を理解する試みであり,インバージョンによる震源過程と相補的な役割を果たすことを目指している.本検討では震源近傍で多数の強震記録が得られた震源から南西部のみを対象とした.余震分布と地表地震断層に沿った断層面を仮定し,破壊伝播速度,すべり量,震源時間関数を与えて離散化波数法により波形合成を行った.断層面は走向の変化を考慮して4つのセグメントに分け,断層幅は10㎞とした.破壊伝播速度は主に波形の到達時刻から決定し,すべり量と震源時間関数は振幅と波形が合うよう設定した.必要に応じて走向方向に変化するパラメターの分布を与えた.観測記録の時刻がずれていると思われる地点が見られたため,P波初動の到達時刻を用いて簡易的な時刻補正を行った波形を対象波形として使用した.地盤構造については十分な情報が得られなかったためモデル化は半無限地盤で行い,サイト特性の影響は余震記録を用いて経験的サイト増幅特性を推定することでその影響を考察することとした.その結果,断層近傍で特徴的なパルス状の波形の多くはモデル化した断層に沿って連続的に断層が伝播すると仮定したシンプルなモデルで概ね説明できることが示された.また,これらの観測点における経験的サイト増幅特性はパルス状の波形に対応する周波数には大きな増幅を示さなかった.Narliセグメント近傍の強震動は地表地震断層沿いの断層面によって説明された.Amanosセグメントの一部では4km/sを超える破壊伝播速度が必要となった.また,Amanosセグメントの断層ステップオーバー付近では,表面付近での破壊の停止と再開が示唆された.本検討では多くの断層近傍地点に見られる特徴的なパルスを主なターゲットとしており,2708,2712,Antakyaの地点等で観測されたより鋭いパルス状の波形の再現には小規模な不均質性を考慮する必要があると考えられる.