The 2023 SSJ Fall Meeting

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Room D

Regular session » S16. Subsurface structure and its effect on ground motion

[S16] PM-2

Wed. Nov 1, 2023 4:00 PM - 4:45 PM Room D (F204)

chairperson:Ikuo Cho(National Institute of Advanced Industrial Science and Technology)

4:30 PM - 4:45 PM

[S16-03] Comparative Analysis of Ground Motion Monitoring Performance through DAS Test Observations Using Multiple Instruments

*Hiroyuki FUJIWARA1, Hiromitsu Nakamura1, Takashi Kunugi1, Shohei Naito1, Shigeki Senna1, Masato Sato1, Ken Sakurai2, Chisato Konishi2, Haruhiko Suzuki2, Masaki Takebe3 (1. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience, 2. OYO Corporation, 3. Mitsubishi Electric Software Corporation)

光ファイバDASと微動探査の融合による高密度・高精度な広域での詳細地盤モニタリングのための基礎的な基盤技術を開発することを目指し,既存の光ファイバや地震観測施設を利用することにより,光ファイバDASによる地盤モニタリング技術,長期間連続モニタリング技術,及び,微動探査や地震波干渉法と融合した解析手法の開発に着手した.地震災害を低減する上で,大都市が立地する堆積平野の地震動特性を高精度に予測することは極めて重要である.防災科研では地震動予測のための地盤モデル高度化を進めており,開発された全国250mメッシュの地盤モデルは地震ハザードステーション(J-SHIS)を通じて公開されている.しかし,現行モデルでは地盤の不均質構造の細部を再現できているとは言い難く,空間分解能のさらなる向上が期待されている.一方,近年では通信用に敷設されている光ファイバケーブルを活用し高密度な歪計測を行うDAS(Distributed Acoustic Sensing)が注目されている.この技術を用いて既設の光ファイバケーブルをセンサーとして利用した計測を行うことにより,地盤の振動特性を10m以下の高分解能で把握することができれば,従来の強震観測記録や微動アレイ探査等に基づいて構築された地盤モデルの空間分解能を飛躍的に向上させることが期待される.本研究では,研究の第一段階として,地盤モデルの高度化に資するデータ取得・解析技術開発を目的に,シングルモード,マルチモードを含めた複数種類のケーブルおよび複数のインテロゲータを利用してDASによる試験観測を行い,常時微動観測記録との比較などにより複数の機材を用いたDAS試験観測での地盤振動モニタリング性能の比較を行った.
  茨城県つくば市内の試験フィールドにおいて,シングルモードの通信用ケーブルおよびひずみ計測用ケーブル各2種類,およびマルチモードの通信用ケーブルを含め計5種類の光ファイバケーブルによる計測を行った.4種類のシングルモードケーブルは同じ長さのものを融着により連結して1本にした後,縦25m,横105m,深さ30cmに掘られたL字の溝に沿って敷設し,ケーブル連結部で折り返して各種類のケーブルがL字状に配置されるようにした.シングルモードケーブルの長さは,計測小屋のインテロゲータに接続するための延長ケーブル20mと合わせ,約620mである.また,マルチモードケーブルはケーブル長約500mのものを使用し,折り返しにより同じ位置を3回通過するようにした.これらのケーブルは保護管無しで敷設後,現地発生土で埋め戻しを行った.DAS計測のためのインテロゲータは計測小屋内に設置し,ケーブル端に接続したコネクタの差し替えによりシングルモード,マルチモードを切り替えて計測を行った.また,インテロゲータは異なる3社の製品X,Y,Zを利用し,同一の観測を行った.なお,X,YとZでは出力形式が異なるが,動的な変化である地震動評価にあたってはひずみ速度を計測する方が適していると考え,ひずみ速度に変換した上で比較した.観測期間は各インテロゲータにおいて24時間以上の連続する期間とし,かけやによる起振や常時微動観測等を行った.比較用として光ファイバのL字測線の長軸方向に沿って20台の微動計を5m間隔で設置し同時測定を行った.DASで出力されるひずみ速度と比較するために,隣同士の微動計速度記録の空間差分を微動計間の距離で除すことによりひずみ速度に変換した.微動計の記録と比較した結果,いずれのケーブル・インテロゲータにおいても約1~2Hz以上の周波数帯域においては,常時微動を利用した位相速度の推定等に活用可能であることが確認された.
 さらに,高感度地震観測施設(Hi-net)真岡観測点における鉛直ボーリング坑(深さ約1,648m)における既設のマルチモード光ファイバを3種類のインテロゲータに接続し,それぞれ約24時間ずつ試験観測を行った.また,相模湾地震観測施設の海底ケーブルにおける総延長約120kmの既設光ファイバを利用し,2種類のインテロゲータによる計測をそれぞれ約2日間実施した.

謝辞  本研究は,防衛装備庁「安全保障技術研究推進制度」の支援を受けて実施されました.