The 2023 SSJ Fall Meeting

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Room D

Regular session » S18. Education and history of seismology

[S18] AM-1

Thu. Nov 2, 2023 9:15 AM - 10:30 AM Room D (F204)

chairperson:Hiroo Nemoto(Ritsumeikan Univ.), Yasuyuki Kano(Earthquake Research Institute, The University of Tokyo)

10:15 AM - 10:30 AM

[S18-05] Smart Sensor Deployments in the Tokyo Area: New Means of Communicating Earthquake Risk and Chances for Seismology

*Naoshi HIRATA1, Takashi Furuya2, Hiroshi Tsuruoka1, Danijel Schorlemmer3 (1. The University of Tokyo, 2. ISAD, 3. GFZ)

はじめに 一般家庭の壁にある電源コンセントに差し込むだけ、固定して室内の揺れ(室内震度)を計測し、イン ターネット経由で波形データ、計測震度などの情報を収集するシステムを開発した。この仕組みによって、一般家庭、事務所などの地震にいる揺れを「計測震度」によって知り、防災行動に結びつくかどうかの実験を、神奈川県座間市、東京都新宿区、千葉県成田市などで2021年から始めた。今年度(2023年度)も、2022年に引き続き、東京都とその近郊で実施した。 システム 一般消費者用のMEMS、WiFiを搭載した基盤搭搭載コンピュータ(Raspberry Pi)と、AC/AD変換電源を容器に詰め一体化し、家庭用の100Vコンセントに差し込めるようにした(コンセント差し込み方式小型地震 計)。この地震計から、データがWiFi経由で、3成分100Hzの加速度連続記録、最大加速、計測震度値などをデーター解析サーバーに転送される。さらに、解析サーバー経由で、Webで閲覧可能な情報として、3成分加速度波形、1Hzにデシメーションした3成分ベクトル合成包絡波形、PGA、計測震度(室内震度)が提供される。 データ解析サーバーからは、室内震度の他、緊急地震速報による予測震度、最寄の気象庁震度が提供される。 計 測 実 験 2021年9月から2022年3月まで、神奈川県座間市で、一般市民20人に対して、10人には本システムを設置し、10人には設置せずに、有感地震時の揺れの体感(体感震度)や防災行動に関するアンケート調査を実施した。2022年度は、2022年10月~023年2月まで、小型地震計設置者51名、非設置者19名に対して調査を実施した。22年度はおもに、e-メール、一部の協力者にはLINEで情報を送信した。 測定結果 室内の揺れを、計測震度を計算するのと同じアルゴリズムで測定すると、一階での測定では、基本的に最寄りの気象庁震度と同様な値が得られた。しかし、数百m程度離れた場所でも、震度階級1程度の増減があること が分かった。さらに、高層ビルの場合には、低層階と高層階で計測震度は異なり、高層階ほど大きくなることも確かめられた。メールやLINEで情報のやり取りをすると、地震発生後1日程度で約半数から回答を得ることができた。地震計を設置した被験者と設置しない被験者とで、防災意識に差がでることを期待した実験であったが、今回の調査では顕著な差は現れなかった。対象者が少なかったことと、有感地震数、特に、大震度の揺れが少な かったことが原因と考えられる。今後、実験の規模を大きくして継続する。 まとめ 室内で簡便に設置できる揺れの測定装置を開発して、一般市民の防災意識の向上に貢献する手法開発の実験を実施した。比較的近隣の場所、階によって、計測震度が異なることは示せた。今後は、データ数を増して、統計的に意味のあるデータを取得する。