日本地震学会2023年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S18. 地震教育・地震学史

[S18P] PM-P

2023年11月1日(水) 17:00 〜 18:30 P2会場 (F205・6側フォワイエ) (アネックスホール)

[S18P-02] 市民参加型低コスト地震計ネットワークの構築と持続可能な地震防災、減災プロジェクトの推進

*矢崎 友貴乃1、鈴木 悠悟1、上松 大輝1,2、金 亜伊1、山崎 眞見1 (1. 横浜市立大学、2. 国立情報学研究所)

地震防災や減災に関するプロジェクトを持続させる最も重要な課題として、そのプロジェクトに関わる人材の確保がある。横浜市立大学金研究室では、市民に向けた低コスト地震計ネットワークの構築プロジェクトを推進しているが、このプロジェクトを継続するにはデバイスやデータの管理、サーバの保守、データ解析など様々な分野での人員を途切れる事無く確保する必要があり、それらを一時的な資金での雇用や研究室に所属する学生で賄うのはリスクが高い。そこで、このように持続させることが不可欠なプロジェクトの継続的な人員確保の一案として、以下を提案し実証研究を行った。前提として、大学内での一研究室が地域で持続可能な地震計ネットワークを運営するプロジェクトを立ち上げているとする。大学内には様々なバックグラウンドや専門性を持つ学生がいる。それらの地震学を専門としない学生へもプロジェクト内容を周知し、興味を持ってもらう事でプロジェクト参入への門戸を広げ、様々な角度からの参加を促すことでプロジェクトの運営を持続可能なものとする。その一案として、地震計で取得されたデータの利活用アイデアコンテストを開催し、地震データの新たなユースケースを募り、地震学や防災へ興味関心を深め、研究参加を促すための啓蒙活動を行った。参加者に対しては地震関連の知識を一切問わず、地震計センサーネットワークの意義や設置条件といった最低限の情報のみを開示し、自由な発想を促した。データ利活用アイデアに関しては地震学分野での活用に留まらず、情報学や経営学等、他分野の知識と融合したアイデアを推奨している。このアイデアコンテストの継続的な開催で地震計ネットワークを学内全体での認知してもらい、専門外の学生や教員を地震学研究に引き込むためのサイクルをデザインした。本発表では地震計ネットワークプロジェクトの概要、それらの学内への周知方法、アイデアコンテストの実施内容、運営方法、開催結果及び、その中から実際に地震計プロジェクトに加えられた他分野からのアイデアの事例について紹介する。さらに、アイデアコンテストで発表された一案を企画および実装に繋げ、大学構内に小規模センサーネットワークを構築し、構内で誰でもモニタリングできるスペースの試作をおこなっている。その具体的手法と、試作展示において得られた意見を紹介する。