The 2023 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Sept. 17th)

Regular session » S19. Seismology, general contribution

[S19P] PM-P

Wed. Nov 1, 2023 5:00 PM - 6:30 PM Room P10 (F201 and 3 side foyer) (Hall Annex)

[S19P-04] Seismic noise amplitude variations caused by wind: A case study around Aomori prefecture, northeast Japan

*Akira Ueno1, Tomoya Takano1, Takuto maeda1 (1. Graduate School of Science and Technology, Hirosaki University)

【はじめに】
 地震記録の中には断層運動にともなう地震波以外のさまざまな振動が記録されている.通例これらはまとめてノイズとして扱われるが,その原因は様々である.そのような振動のうち主要なものとしては海洋起源の脈動が周期1秒から周期20秒の周波数帯に存在することは広く知られている.一方,大気の運動,すなわち風と地震動との関係も広い周波数帯で報告されているものの,その発生メカニズムは詳細に分かっていない.本研究では,一年を通して国内でも特に風の強い青森県周辺において,地震波ノイズと風速との関係を調査した.

【手法】
 本研究では,青森県周辺にあたる東経139.5–142.0°および北緯40.0–41.0°における,2022年9月の1ヶ月間の高感度地震観測網Hi-netの3成分速度波形記録とAMeDAS観測点平均風速記録を利用した.地震波と平均風速の比較のため,Hi-net地震計に最も近いAMeDAS観測点の風速計をペアとしてカウントし,計28個のペアで地震波振幅レベルと風速との対応関係を調査した.
 地震波ノイズの変動は,パワースペクトル密度関数(PSDF)の時間変動により調査した. 断層運動による地震波やその他の原因による突発的な振幅増加などの影響を最小化するため,10分間の時間窓中のPSDFの最小値をもってその時間窓の代表値とし,その時間窓を1分ずつずらしながら振幅の時間変動を調べた.解析周波数帯は0.1–16 Hzとし,それを6分割して解析した.さらに,このPSDFの最小値と同時刻に風速計で測定された10分間平均風速の相互相関を求めた.

【結果・議論】
 風とPSDの相互相関は概ね海岸付近で強く,内陸で弱くなる傾向が見られた.ほぼ全ての観測点で相互相関は1–8 Hzでピークを持ち,海洋に近い観測点では1–2 Hzでピークとなる観測点が多く見られた.海岸付近で1–2 Hzに相関が大きくなることは風により励起された海洋波が原因であると考えられる.一方で海岸付近でも相関が弱く,内陸でも強い相関を持つペアが存在した.
 ペアごとの地震波ノイズのPSDFはばらつきが大きいものの,風速に依存してその取りうる値の最低値が系統的に大きくなっている様子が観察された.そこで,風速の一定区間ごとのPSDFの最低値に対して最小二乗法を適用し,PSDFの最低値に対する風速の傾きSを算出した.ペアごとにSを求めることでPSDFへの風速の影響を調べた.計算したSでは相互相関の結果とは異なり内陸で大きくなる結果となった.これは風の風向や観測点付近の傾斜が影響していると考えられる.

【まとめ】
 風による地震波ノイズレベルの変動を地震波ノイズのPSDFと平均風速の比較から調査を行った.これらのデータから相互相関を算出し,その地域特性を調べた.概ね全域の地震観測点において風速と地震波ノイズの相関が見られた.特に周波数1–2 Hzの間では海岸付近の観測点で相関が強くみられた.これは風により励起された海洋波に起因していると考えられる.一方,傾きSでは明確な地域による傾向が見られず,地形の傾斜や植生などのより詳細な地域特性が影響している可能性がある.