日本地震学会2023年度秋季大会

講演情報

D会場

特別セッション » S22. 能登半島北東部の群発地震とM6.5の地震

[S22] AM-1

2023年10月31日(火) 09:30 〜 10:40 D会場 (F204)

座長:平松 良浩(金沢大学)、西村 卓也(京都大学)

09:50 〜 10:10

[S22-02] [招待講演]能登群発地震域周辺の地下比抵抗構造とその不均質性

*吉村 令慧1、平松 良浩2、後藤 忠徳3、笠谷 貴史4、宮町 凛太郎1、中川 潤1、山下 凪3、天野 玲3、深田 雅人2、杉井 天音2、乾 太生1、山﨑 健一1、小松 信太郎1、岩堀 卓弥1、吉川 昌弘1、波岸 彩子1、長岡 愛理1、達山 康人1、澤田 明宏2、張 策2、福岡 光輝2、陣出 湧也2、大島 由有希2、金沢 桃夏3 (1. 京都大学防災研究所、2. 金沢大学、3. 兵庫県立大学、4. 海洋研究開発機構)

石川県珠洲市付近では、2020年末より群発的地震活動と局所的な非定常地殻変動が継続している。この活動は、2018年6月頃に端を発し、2021年9月16日にはM5.1(最大震度5弱)、2022年6月19日にはM5.4(最大震度6弱)、2023年5月5日にはM6.5(最大震度6強)の地震が発生しており、現在もその活動は収束を見せていない。
我々は電気物性の視点で、この群発活動がどのような場で発生しているのか、また、2007年能登半島地震の発生域と不均質性のスケールに違いがあるか否かを解明するために、地下比抵抗構造調査を実施している。2021年11月-12月および2022年3月-4月に取得した陸上計32か所、2022年11月-2023年2月に取得した陸上23か所、計55か所の広帯域電磁場データから推定された地下比抵抗構造では、一連の地震活動が開始した南側のクラスタの深部から現在最も活動が活発な北側のクラスタにかけて連続する低比抵抗領域が存在することが明らかになった。さらに、群発的地震活動はこの低比抵抗領域の外縁部に位置していることなどから、この活動への流体の関与を強く示唆する結果を得た。
本発表では、この地域で推定された地下比抵抗構造を詳報するとともに、2023年5月5日に発生したM6.5の地震のすべり域周辺の不均質性を紹介する。また、2022年9月-10月に実施した海域3か所、2023年8月から実施している海域2か所、2023年4月から実施している陸域2か所の補充観測データも考慮し、推定された構造の確度についても議論したい。