10:45 AM - 11:00 AM
[S01-07] Coherence based detection of very long-period seismic signals from northern Canada.
連続地震波形記録を解析することで,地球内部や表層での物理過程に関連する信号を特定することができる.波形を特定し地震カタログを作ることで,震源過程や地球内部構造等に制約を与えることができる.従来,比較的短周期の実体波の解析により地震は検出されカタログ化されているが,これまで特定されていない新しい信号を検出することは困難である.一方,25秒以上の長周期の波形に着目して,グローバルな地震観測網を伝播する表面波を解析することで,従来の地震カタログにないイベントが検出されるようになった.特に,グリーンランドや南極大陸での氷河の崩壊に伴う長周期波形が観測されている.しかしながら,これらの先行研究の手法は,ギニア湾で発生する周期26秒にピークを持つ単色微動のような,時間領域で表面波振幅が明瞭でないイベントに対しては適用することができない.そこで本研究では,広帯域地震観測網の連続波形記録のコヒーレンス解析により,長時間継続するような長周期の微動を検出する手法を提案する.
本研究では,2003年から2021年までのF-net観測点全点で記録された地震波形記録の上下動成分を解析した.まず,1 Hzにリサンプルしたのち600秒のハイパスフィルターを適用し,連続波形を1200秒ごとに区切り1bit化を適用した.この前処理を行った波形に対して全観測点ペアでコヒーレンスを計算し平均した.さらに,2時間の時間窓ごとにコヒーレンスを平均した.本手法でのイベント検出の一例として2014年1月24日に観測されたイベントについて紹介する.2014年1月24日の12時から18時にかけて周期約40秒に高いコヒーレンスが観測された.グローバルな地震カタログにはこの時間帯に対応する地震はなく,日本以外の稠密観測網のコヒーレンス解析においても同一の時間帯に高いコヒーレンスが観測された.この信号の発生場所を調べるために,グローバルな地震観測点での同時間帯の連続波形記録の相互相関関数を計算し,その最大振幅の経過時間を解析した.その結果,この信号はカナダ北部のフィヨルド周辺で発生していることがわかった.また,F-netでのこの信号のクロススペクトルをリファレンスにして,短時間窓ごとのクロススペクトルとの相関係数を計算したところ,同様なイベントが複数回生じていることがわかった.本手法により,従来の長周期の表面波解析では検知されないような長時間にわたって継続する長周期の微動を検知できる可能性が示唆された.
本研究では,2003年から2021年までのF-net観測点全点で記録された地震波形記録の上下動成分を解析した.まず,1 Hzにリサンプルしたのち600秒のハイパスフィルターを適用し,連続波形を1200秒ごとに区切り1bit化を適用した.この前処理を行った波形に対して全観測点ペアでコヒーレンスを計算し平均した.さらに,2時間の時間窓ごとにコヒーレンスを平均した.本手法でのイベント検出の一例として2014年1月24日に観測されたイベントについて紹介する.2014年1月24日の12時から18時にかけて周期約40秒に高いコヒーレンスが観測された.グローバルな地震カタログにはこの時間帯に対応する地震はなく,日本以外の稠密観測網のコヒーレンス解析においても同一の時間帯に高いコヒーレンスが観測された.この信号の発生場所を調べるために,グローバルな地震観測点での同時間帯の連続波形記録の相互相関関数を計算し,その最大振幅の経過時間を解析した.その結果,この信号はカナダ北部のフィヨルド周辺で発生していることがわかった.また,F-netでのこの信号のクロススペクトルをリファレンスにして,短時間窓ごとのクロススペクトルとの相関係数を計算したところ,同様なイベントが複数回生じていることがわかった.本手法により,従来の長周期の表面波解析では検知されないような長時間にわたって継続する長周期の微動を検知できる可能性が示唆された.