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[S03-05] The Spatiotemporal Evolution of Afterslip Following the Largest Foreshock (M 7.3) of the 2011 Tohoku Earthquake Based on OBPR Data
本研究では,2011年3月11日14:46(JST)頃に発生した東北地方太平洋沖地震(Mw 9.0)の最大前震(Mw 7.3;M9本震より51時間前に発生)(前震#1)の発生から本震に至る非地震性すべりの時空間発展について,海底水圧計(OBPR)データの再解析を通して,より詳細に明らにする.Ohta+ (2012)は,陸上GNSS及びOBPRのデータを使用し,すべりの空間分布が時間的に変化しないことを仮定し,前震#1からM9本震までの地表面変位からすべり分布を推定した.しかし,前震#1からM9本震に至るまでに,本震の約32時間前にMw 6.5の2番目に大きな前震(前震#2)が発生しており,この地震が本震に至る非地震性すべりの時空間発展に影響を及ぼしている可能性がある.OBPRデータには,時定数及び振幅が地殻変動成分とよく似た非潮汐海洋変動成分(海洋ノイズ)が含まれており,地殻変動検出を行うにあたっては海洋ノイズとの分離が重要となる.本研究では,日本近海で高空間解像度を有する海洋モデルであるMRI.COM(Hirose+, 2020)の出力と主成分分析を使用して非潮汐海洋変動起源のノイズ除去を試みた.その結果,使用した8観測点においてノイズレベル(1σ)は1 cm(水圧変動に換算して~1 hPa)未満となり,OBPRデータ上での地殻変動成分のS/N比が向上した.処理後のOBPRの記録を詳しくみると,前震#1の震央に近い観測点(P09)では,前震#1️直後からその余効すべりによると考えられる変動が見られているのに対して,震央から離れた他の観測点での顕著な変動は9-13時間程度遅れて始まっており,前震#1後の余効すべりの範囲が時空間的に変化していることが示唆される.こうした特徴を示すOBPRデータからすべりの時空間分布の推定を試みた.観測データが8観測点での上下変動成分のみと少ないことから,非負拘束付きスパースモデリング(LASSO)を使用してインバージョン解析を行った.前震#1発生後,地震時すべりを起こした領域(M9本震震源北側)付近で非地震性すべりが発生し,遅れてM9本震震源のダウンディップ側で非地震性すべりが加速し,その後M9本震に至るまで本震震源付近ですべりが継続するというように,すべりの範囲が経過時間とともに遷移していることを明らかにすることができた.M9震源ダウンディップ側の非地震性すべり域では,すべりの加速に同期するような群発地震活動も見られた.