The 2024 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 21st)

Regular session » S03. Crustal deformation, GNSS, and gravity

[S03P] PM-P

Mon. Oct 21, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S03P-01] Take-over of the transponder array geometry for the long-term GNSS-A observation in the SGO-A

*Shun-ichi WATANEBE1, Koya Nagae1, Yusuke Yokota2, Tadashi Ishikawa1, Yuto Nakamura1 (1. Hydrographic and Oceanographic Department, Japan Coast Guard, 2. Institute of Industrial Science, University of Tokyo)

海上保安庁のGNSS-A海底地殻変動観測網SGO-Aは,2000年以降,20年を優に超える長期にわたり定常的に運用されている.この間,2000年代後半の漂流観測から航走観測への観測方式の変化や,2010年代後半のマルチ測距の実現といった大きなハードウェアの更新に限らず,測線の変更や音響機器の定期的なメンテナンスが進められてきた.各観測点の海底に複数台(通常は4台)設置する音響ミラートランスポンダ(海底局)についても,音響素子の変更やその他マイナーな仕様変更等があった.海底局はバッテリ駆動型であるため,運用中の故障を除いても,長くとも10年程度で更新することとなる.この際,海底変位の時系列の継続性を担保するため,既存の海底局と新たに設置する海底局を同時に観測し,それぞれの位置を結び付ける引継ぎ作業が必要になる.しかし,この同時観測において特性の大きく異なるトランスポンダが共存した場合には,新または旧いずれか又は両方のアレイ形状が崩れる等,適切なアレイ引継ぎが行われず,時系列にオフセット等が生じる可能性が高くなる.

特に,GNSS-Aの解析においては,4台の海底局の相対位置(アレイジオメトリ)が不変であるとした拘束を課すことにより,音速推定及び測位解の安定性を高めているため,アレイジオメトリの適切性は重要である.そこで,我々は海底局の入出射角度特性を水槽実験等で調査し,それをアドホックに補正する手法であるAcoustic Ambiguity Reduction (AAR) 法(Yokota et al., 2024, EPS)を開発・導入し,精度の検証等を行っている.

また,現在のアレイ形状推定は,ルーチン解析におけるワークフロー単純化のため,全観測データを用いて,その平均値を採用する方式としている(Watanabe et al., 2020, Front. Earth Sci.).しかし,この方法では,新・旧それぞれのみに対して個別に取得されたデータも含めて新旧のアレイ形状を求めることになり,同時観測によるアレイ形状の引継ぎの効果が小さくなるという懸念がある.そのうえ,観測データを取得する度にアレイ形状を推定しなおして全観測データを再解析する必要もある等,データが蓄積された現在においては,計算コスト上の問題も生じてきている.そこで,本研究ではAAR法で補正された観測データを用いて,新旧同時観測のみでアレイを固定する引継ぎ方法を試行し,その精度や安定性を検証する.