[S03P-02] Factors of waveform disturbance in acoustic ranging at SGO-A station
現在海上保安庁では,日本海溝や南海トラフに沿うように合計27点のGNSS-A観測網(SGO-A)を展開している. GNSS-A観測では,船舶に取り付けた海上局(トランスデューサ)と海底に設置した各点4局の海底局(ミラートランスポンダー)間の往復測距によって位置の決定を行っている.往復測距における,走時の読み取りについては,送信信号と受信信号の相関を計算して,読み取り位置を決定している(冨山, 2003, 海洋情報部技報).
最初の観測点設置から既に20年以上が経過しているが,GNSS-A観測の海底局の寿命はこれよりも短いため,現時点で多くの観測点において海底局の更新をすることで観測を継続している.このような海底局の引継ぎで指摘される問題の一つとして,音響素子の変化が挙げられる(他の問題として,海底局アレイの引継ぎ方法についてはWatanabe et al., 2024(地震学会)で述べる.).GNSSアンテナにおけるPCV(Phase Center Variation)のように,GNSS-A音響機器にも,各機器への音波の(天頂方向から算出する)入射角によって波形の形状が異なることが確認されている(Honsho et al., 2021, Front. Earth Sci.).実観測のデータのみからこの角度依存性を議論するのは,複数の要因が絡み合っており困難である.そこで我々は水槽を用いた音響測距を行い,この角度依存性についての調査を行った.
水槽試験では,実際に観測に使用している海上局・海底局を含む,複数の形状の音響素子を用意した.これらにそれぞれハイドロフォンの取り付けを行い,収録した.それと同時に,実観測で使用している波形収録装置での収録も行いこれらのデータの比較をした.その結果として,Honsho et al., (2021)で指摘されていたような角度依存性を確認した(永江ほか, 2024, 超音波研究会).
一方で,現在船底に取り付けられている海上局や,すでに製造されていない型式の海底局についてのこのような試験を行うことは困難である.また,このような角度特性は海上局-海底局の組によっても異なること,海上局-海底局の方向依存した波形形状の乱れがあること,海底局の設置深度による波形形状の変化も示唆されることなど,複数の要因が存在することが分かってきた.このような背景から,実験データを教師として読み取り位置を決定することは難しいため,我々は,GARPOS(Watanabe et al., 2020, Front. Earth Sci.)を用いた新たな波形読取りのアルゴリズムAAR法(Yokota et al., 2024, EPS)によって,SGO-A観測点の音響信号読み取り行い,測位解の解析を行った.
最初の観測点設置から既に20年以上が経過しているが,GNSS-A観測の海底局の寿命はこれよりも短いため,現時点で多くの観測点において海底局の更新をすることで観測を継続している.このような海底局の引継ぎで指摘される問題の一つとして,音響素子の変化が挙げられる(他の問題として,海底局アレイの引継ぎ方法についてはWatanabe et al., 2024(地震学会)で述べる.).GNSSアンテナにおけるPCV(Phase Center Variation)のように,GNSS-A音響機器にも,各機器への音波の(天頂方向から算出する)入射角によって波形の形状が異なることが確認されている(Honsho et al., 2021, Front. Earth Sci.).実観測のデータのみからこの角度依存性を議論するのは,複数の要因が絡み合っており困難である.そこで我々は水槽を用いた音響測距を行い,この角度依存性についての調査を行った.
水槽試験では,実際に観測に使用している海上局・海底局を含む,複数の形状の音響素子を用意した.これらにそれぞれハイドロフォンの取り付けを行い,収録した.それと同時に,実観測で使用している波形収録装置での収録も行いこれらのデータの比較をした.その結果として,Honsho et al., (2021)で指摘されていたような角度依存性を確認した(永江ほか, 2024, 超音波研究会).
一方で,現在船底に取り付けられている海上局や,すでに製造されていない型式の海底局についてのこのような試験を行うことは困難である.また,このような角度特性は海上局-海底局の組によっても異なること,海上局-海底局の方向依存した波形形状の乱れがあること,海底局の設置深度による波形形状の変化も示唆されることなど,複数の要因が存在することが分かってきた.このような背景から,実験データを教師として読み取り位置を決定することは難しいため,我々は,GARPOS(Watanabe et al., 2020, Front. Earth Sci.)を用いた新たな波形読取りのアルゴリズムAAR法(Yokota et al., 2024, EPS)によって,SGO-A観測点の音響信号読み取り行い,測位解の解析を行った.