The 2024 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 21st)

Regular session » S03. Crustal deformation, GNSS, and gravity

[S03P] PM-P

Mon. Oct 21, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S03P-05] Unintuitive Displacement Field Caused by Reverse and Horizonal Fault Motion in an Elastic-Viscoelastic Layered Half-Space

*Koitaro Koide1, Yukitoshi Fukahata1 (1. Kyoto University)

断層運動によって生じる変位場には,しばしば直観的には理解しにくいものがある.無限弾性媒質の場合には,ダブルカップルの力を与えたとき変位場は断層面について対称となり,ダブルカップルの力を考えることで容易に理解できる.しかし,例えば半無限弾性媒質中の逆断層が作る地表面変位は,上盤側が大きく隆起する一方,下盤側の沈降量は隆起量に比べてはるかに小さいという非対称なパターンとなる.これは自由表面の存在が強く影響している.さらに岡田 (2003) は逆断層運動が起こった場合でも,下盤側に沈降が生じないケースがあることを示した.媒質が粘弾性層を含む場合には,変形場の直観的理解がさらに難しくなる.  本研究では,弾性-粘弾性水平二層構造媒質中の断層運動が作る変位場を計算し,その変形メカニズムを考察した.粘弾性媒質としては,Maxwell粘弾性体を仮定した.計算にはFukahata & Matsu’ura (2005, 2006) の半解析解を用いた. まず,表層 (弾性層) の浅部,中間部,深部それぞれの深さに逆断層を置いたときに生じる地表面の変位場を計算した.この計算結果は昨秋の地震学会および今春のJpGUですでに発表している (小出・深畑, 2023; 2024).浅部に逆断層を置いた場合には,上盤側が弾性変形で隆起し,その後の粘弾性緩和によって沈降が生じた.一方,弾性層の深部に逆断層を置いた場合には,弾性変形で全体的に隆起し,粘弾性緩和によってさらに隆起が大きくなった.この結果は粘弾性緩和が重力平衡を回復するように起きるといる理解が必ずしも正しくないことを示している.これらの変位場の特徴を物理的に理解するために,内部変形場についても計算した.浅部に逆断層を置いた場合,緩和完了後には断層周辺で全体に下向きの変位が生じた.逆に深部に逆断層を置いた場合には,緩和完了後に断層周辺で全体に上向きの変位場が生じた.一般に,粘弾性緩和が完了した後には,粘弾性層 (Maxwell粘弾性体) が流体のように振る舞い,弾性層は弾性板として振る舞うこととなる.逆断層にかかる力は一般に水平圧縮の力である.弾性層の浅部か深部のどちらかにのみ断層が存在する場合,断層部分で強制的な短縮が起こることで短縮量の不均衡が生まれ,断層がある部分が凹むように弾性板が曲がる変形をし,上述の変形場が生じたと考えられる. 弾性層内の水平断層が作る変位場についても計算した.水平断層の上側が左に,下側が右に動く変位の食い違いを与えた.このときの地表面変位は,弾性変形により断層の左端直上付近で隆起し,右端直上付近で沈降するパターンとなった.その後,粘弾性緩和によってさらに隆起と沈降は大きくなった.なお,弾性層の中間部に低角の逆断層を置いた場合には,この水平断層と似た上下変位のパターンを示す.水平断層による内部変形場を見ると,粘弾性緩和の完了後には,断層の左側で全体に鉛直上向き,右側で鉛直下向きの変位場となった.粘弾性緩和完了後には弾性層が板のように振る舞うが,弾性媒質の厚みは上下方向には有限であるのに対し,水平方向には無限である.そのため,ダブルカップルの力のうち,鉛直方向の力が変形に大きく寄与し,断層の両端で対称な上下方向の変位が生じたと考えられる.