[S06] AM-1

[S06-01] Deep structure of the Hidaka collision zone, Hokkaido Japan inferred from offshore-onshore integrated seismic survey (2)

*Noriko TSUMURA¹, Yoshio Murai², Hisatoshi Baba³, Toshinori Sato¹, Eiji Kurashimo⁴, Masanao Shinohara⁴, Shintaro Abe⁵, Yasuhito Uchida⁶, Takuya Ishii⁷, Nagisa Nakao⁸, Kazuya Matsumoto⁹, Takumi Asada¹⁰, Takashi Ogami¹¹, Miwako Ando⁴, Shinichi Tanaka⁴, Aina Idoguchi³, Keitaro Takamoto¹², Tomoya Hiramatsu⁷, Naoki Momomoto⁷, Yusuke Yamanaka², Tatsuya Nakagaki¹³, Hiroaki Yamahana¹⁴, Yojiro Sasagawa⁷, Hayato Onuki⁷, Saki Shibata¹⁵, Issei Yasuhara⁷ (1. Graduate school of Science, Chiba University, 2. Faculty of Science, Hokkaido University, 3. School of Marine Science and Technology, Tokai University, 4. Earthquake Research Institute, University of Tokyo , 5. ADEP, 6. Hokkaido Research Organization, 7. Graduate School of Science and Engineering, Chiba University, 8. Kawasaki Geological Engineering Co. Ltd., 9. Nikkodo Co. Ltd., 10. Department of Engineering, Muroran Institute of Technology , 11. AIST, 12. Department of Marine Science and Ocean Engineering Course of Marine Science and Ocean Engineering, Tokai University, 13. Graduate school of Science, Hokkaido University, 14. School of Science, University of Tokyo, 15. Faculty of Science, Chiba University)

[背景]日高衝突帯の深部構造は反射法地震探査や自然地震波形の解析からいくつか推定されているものの，深さ40㎞以深については統一的な解釈が得られていない[e.g. Tsumura et al.,1999;Kita et al., 2012]。本研究では，主に反射探査の結果からTsumura et al.（1999）が提唱した，東北日本弧に衝突した千島弧地殻が裂けて下部地殻の一部が深部に沈み込む剥離が起こっているという作業仮説を検証するために浦河沖でのエアガン発震を陸域で受信する海陸統合探査を行って，既存反射断面では連続性が追えなかった剥離構造深部からの反射波を捉え，島弧間衝突の境界形状を約50㎞の深度まで明らかにすることを目指した。

[海陸統合地震探査]　2023年10月16日～11月14日まで，北海道浦河町から大樹町までの国道や林道沿いなどに陸域受信点を約250m間隔で210点設置し，現地で地動を連続収録した。サンプリング周波数は250Hzである。　海域での探査は東京大学大気海洋研究所白鳳丸共同利用研究航海（KH-23-8：2023年11月8日～12日）により実施された。海域測線は浦河の沖合い北東―南西直線上に設定され，測線の全長は50㎞，測線北東端が陸域観測点の南西端から約30㎞に位置する。海域測線下には2.5㎞～10㎞の間隔で8台の海底地震計も設置された。実際の発振は11月9日～10日に1500cu.inのエアガン4台で4ノット75秒間隔（約150m間隔）で行った。発震総数は1039である。

[観測結果]陸域で観測された波形を観測点記録として並べると，南西端の観測点では海域発震測線の全領域で撃ったショットの初動が往復走時10s～22s付近に見いだせた。また日高山脈を越えた帯広側の観測点でも，海域測線の陸側寄り20㎞付近で撃ったショットの初動が確認できた。得られた波形記録には往復走時25～26秒付近にも断続的に反射位相が見られ，その走時から，解析地域の下に沈み込んだ太平洋プレート上面付近からの反射波である可能性が考えられる。それよりも早い往復走時20秒付近にもいくつか反射波が見られ，東北日本弧内の下部地殻相当の深度に反射面が存在することが示唆された。

謝辞：本研究は東京大学地震研究所共同利用B（2023-B-04）の援助を受けました。