日本地震学会2024年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S07. 地球及び惑星の内部構造と物性

[S07P] PM-P

2024年10月22日(火) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (2階メインホール)

[S07P-01] NASA Dragonfly計画における土星衛星タイタンでの地震観測に向けた検討 〜熱サイクル試験とノイズモデルの作成〜

*小野寺 圭祐1、白石 浩章2、田中 智2、川村 太一3、三谷 烈史2、村上 英記4、山田 竜平5、西田 究1、鎌田 俊一6、木村 淳7、黒川 宏之8、関根 康人9、辻 健10、パニング マーク11、ローレンツ ラルフ12 (1. 東京大学地震研究所、2. JAXA宇宙科学研究所、3. パリ地球物理研究所、4. 高知大学、5. 会津大学、6. 北海道大学、7. 大阪大学、8. 東京大学大学院総合文化研究科、9. 東京工業大学地球生命研究所、10. 東京大学大学院工学系研究科、11. Jet Propulsion Laboratory, California Institute of Technology 、12. Applied Physics Laboratory, Johns Hopkins University)

(1) 背景 
 2019年にNASAのニューフロンティア計画に採択されたDragonflyは2030年代に土星衛星タンタンを探査する予定であり、現在2028年の打ち上げに向け準備が進められている(現状はPhase C:Final mission design and fabricationと呼ばれる段階)。当ミッションでは離着陸可能なドローンを用い、タイタン上の様々な地点にて化学分析・気象観測・地球物理観測を実施し、(a)タイタンにおける有機物の定量評価、(b)生命の存在する(した)可能性の評価、(c)表層や地下の環境の調査を行う。 
 我々のチームはJAXAの開発するタイタン地震計DraGMet SEIS (Dragonfly Geophysics and Meteorology Package: Seismometer)を用いて地震観測を行い、タイタンにおける地質活動や地下構造の解明を目標としている。人類史上初の氷衛星での地震観測に向け、DraGMet SEIS日本チームでは、地震計の開発・製造を行うとともに深部構造・表層構造・大気活動・物質循環といった様々な観点から科学検討を進めている。本発表では2023-2024年に実施された熱サイクル試験の結果と機器および環境ノイズモデルの作成に関して報告する。

(2) 熱サイクル試験 
 科学機器を他の惑星や衛星で利用する場合、搭載機器が星間クルーズを経て対象天体の環境下で正常に作動することを保証するために模擬環境下での実験を行う必要がある。タイタンの表層では94K (-179℃)と極低温であることに加え、タイタンへの着陸には1.5気圧の大気を通過するため、大気圧縮に伴う昇温にも耐える必要がある。今回の発表では、EDL(Entry Descent & Landing:突入・降下・着陸)時に経験する温度変化を模擬した環境下(-90℃〜+100℃)での地震計の性能評価に関して報告する。

(3) ノイズモデルの作成 
 地球での地震観測と同様にノイズレベルの見積もりはデータの質を評価する上で重要な要素である。地震観測におけるノイズは機器ノイズと環境ノイズに分けることができる。機器ノイズは地震計自体やその周辺システムからのノイズを指し、環境ノイズは外的原因(風・海洋波浪など)によるノイズを指す。本発表においては、地震計およびプリアンプ回路の機器ノイズ(熱ノイズ・サスペンションノイズ・電圧ノイズ・電流ノイズ)と大気擾乱に伴う環境ノイズの見積もり結果について報告する。