The 2024 SSJ Fall Meeting

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Room B

Regular session » S08. Earthquake physics

[S08] PM-2

Tue. Oct 22, 2024 3:15 PM - 5:00 PM Room B (Medium-sized Conference room 301 (3F))

chairperson:Nelson Pulido(National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience), Toshiko Terakawa(Nagoya University)

3:30 PM - 3:45 PM

[S08-02] Modeling the Stress field around focal area of the 2016 Kumamoto earthquake(Mj7.3), Kyushu, Japan

*Yushi Nagayama1, Satoshi Matsumoto2, Takeshi Matsushima2, Kentaro Emoto2, Ryunosuke Takayama1, Taiki Kono1, Yuta Okuda1 (1. Department of Earth and Planetary Sciences, Graduate School of Science, Kyushu University, 2. Institute of Seismology and Volcanology, Faculty of Science, Kyushu University)

九州中部に位置する熊本地方には,北部には別府―島原地溝帯が,南部にはせん断帯が九州を横断する形で存在し,空間的に不均質な応力場が存在することが分かっており(Matsumoto et al., 2015b),また同じく熊本地方に位置する布田川断層帯と日奈久断層帯の一部は2016年熊本地震の最大前震(Mj6.5)と本震(Mj7.3)の震源域にあたり,地震前後で応力場の時空間変化があったことが示されている(Mitsuoka et al., 2020).一方,本震域南部の日奈久断層帯南部では未だ大きな破壊が生じていないことから将来大地震が発生する可能性を有しており,このような地震発生場である断層帯周辺の応力状態を把握することは,将来の地震活動を予測するうえで非常に重要である.特に,地震断層に応力集中が生じていたのかどうか,地震断層延長上の断層部での応力状態の把握が必要であると考えられる.そこで本研究では,断層周辺の応力変化を議論する際で重要な地震断層の形状の特定を行い,本震前における断層帯での応力集中度を考慮にいれた,地震前から地震後の一連の期間における2016年熊本地震震源域の応力場のモデル化を試みた.解析には,九州大学地震火山観測研究センターが九州地方に設置している定常・臨時地震観測点に加え,日奈久断層帯周辺に設置している稠密地震観測網である0.01満点地震観測点で得られた地震データを用いた.地震データからはP波極性の読み取りをもとにHASH(Hardebeck and Shearer, 2002)を用いて各地震イベントの発震機構解を決定し,地震モーメントテンソルを計算した.本震断層面はIio et al. (2021)の手法を参考にし,発震機構解のP軸方位角の空間変化から最適な面を決定した.応力場は,Matsumoto et al. (2015a)に基づき,地震前は広域応力と断層帯での応力集中,地震後は地震前応力場と本震断層すべりによる応力変化でモデル化した.パラメータは広域応力を表す偏差応力テンソルの大きさと,断層すべりによる応力変化に対する地震前の応力集中の占める割合の2つである.これらをグリッドサーチにより,各発震機構解の単位すべりベクトルと最大せん断応力方向の単位ベクトルの残差のRMS値が最小となるものを探索し,最適モデルを決定した.広域応力を表す偏差応力テンソルはMatsumoto (2016)の手法により地震モーメントテンソルを足し合わせることで推定し,断層すべりによる応力変化はAsano and Iwata (2021)のすべり分布インバージョンの結果を用いてOkada (1992)の式により計算した.解析の結果,断層帯での応力集中が本震発生前に地震断層にある程度存在するモデルが最適であることが分かった.一方で,このモデルは仮定した広域応力場によって変わり得ることから,地震前後の両期間において空間的不均質性が報告されている熊本地方の広域応力場を適切に推定することが重要であり,今後の課題として挙げられる.