The 2024 SSJ Fall Meeting

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Room A

Regular session » S08. Earthquake physics

[S08] PM-2

Wed. Oct 23, 2024 3:15 PM - 4:45 PM Room A (International Conference Hall (4F))

chairperson:Makoto Naoi(DPRI, Kyoto Univ.), Tatsuya Kubota(NIED)

4:15 PM - 4:30 PM

[S08-30] Reexamination of Rate- and State- Friction Parameters at Subseismic Loading Rate

*Kotaro Kusada1, Eiichi Fukuyama1,2 (1. Univ. of Kyoto, 2. NIED)

自然地震の解析においては、断層面における比較的長い(~m)摩擦のすべり弱化距離()が報告されている(e.g. Ide & Takeo 1997, JGR)。 しかし室内実験においては、遅いすべり速度(µm/s)と短いすべり距離(~cm)によるVelocity Step Change Testの実験結果から、は極めて短い(~mm)と報告されている(e.g. Marone 1998, ANEPS)。摩擦パラメータは多くの地震シミュレーション研究で用いられているため、この相違を調査することは重要である。本研究では、地震のすべり速度に近い中速度域(~mm/s)、および長すべり距離(~m)条件下での摩擦パラメータの特性を明らかにすることを目的として岩石摩擦試験を行った。実験には福建省花崗岩を使用し、長すべり距離条件を実現するために回転せん断摩擦試験機を用いた。室温室内湿潤状態で3MPaの法線応力を加え、すべり速度ステップが5。0×10-3m/sと1。5×10-2m/sの間を行き来するVelocity Step Change Testを複数回(~10回)繰り返してデータを取得した。実験の結果、定常状態に到達したと確認できたデータと、定常状態とならなかったデータが得られた。前者は速度ステップの際に見られる典型的な摩擦係数波形の形となり、それから摩擦パラメータの値を推定することができた。後者は摩擦係数の値が不規則に擾乱し、摩擦パラメータの値を推定することはできなかった。これは、run-in直後の不安定さによるものと、実験終盤においてすべり面のダメージが急拡大したことによると考えられる。そこで、解析は前者のデータに対して行った。パラメータ推定は、まず初めにの値を速度急変時の摩擦係数のジャンプより推定したのち、とについてのグリッドサーチを行い、最小二乗法によって最適解を選択することで行った。パラメータ推定の結果、の値は既往研究と同様であったが、負の値は一桁小さくなり、もメートルオーダーの値が推定された。この結果は、同じスケールの速度と距離条件での一定すべり速度実験(Mizoguchi & Fukuyama, 2010, IJRMMS)の実験開始直後の挙動と類似している。の値が大きくなった理由の一つは、長いすべり距離の挙動のデータを取得したためと考えられる。このことは Abercrombie and Rice(2005, GJI) でも示唆されているように、状態に依存する過程が低速・短距離すべり実験とは異なっているためと考えられる。また、の値が大きくなることや摩擦係数が擾乱する原因として、ガウジやガウジ層の影響があると予測している。発表では、この可能性も踏まえて議論を行う。我々の実験結果は、低速すべり(~µm/s)と中速度すべり(~mm/s)では摩擦パラメータの挙動が異なる可能性を示し、より現実的な条件下で摩擦パラメータを推定することの重要性を示唆するものである。