10:15 〜 10:30
[S09-16] 日本海溝北部における浅部テクトニック微動の相対震源決定を用いた高精度震源分布
日本海溝北部では通常地震 (Fast 地震) と浅部低周波微動 (Slow 地震) が時空間的に連動して活動しており, それらは共にプレート境界で発生すると考えられている. 本研究では, 2007-2008年に日本海溝北部に展開された海底地震計 (OBS) データを用い, 浅部微動と通常地震の震源の相対的な位置関係を精度よく決定することで, より信頼できる微動分布を得ることを目的とする.
一般的に通常地震はP, S波の到達時刻情報を用いて震源が決定されるため, 震源深さがよく拘束される. 一方，微動波形にはP, S波の明瞭な到達が見られないことから, 微動震源は観測点間でのS波の到達時刻差から推定されるため，震源深さの制約が原理的に難しい．これに加えて, 海底下浅部のS波速度構造が詳細に得られていないこともあり, 海域で発生する浅部微動の震源深さの信頼性は高いとは言えない. 結果としてSlow地震とFast地震の相互作用についての詳細な議論は難しいままである.
そこで本研究では, 日本海溝においては微動と通常地震が空間的に近接し, 同一の深さ範囲で発生しているといった特徴 (Nishikawa et al., 2019) を踏まえ, 精度良く決定された通常地震の震源に対する相対震源決定を行うことで，微動の震源深さの推定精度を向上させ, 通常地震と微動との相互作用の議論の上で最も本質的な両者の空間分布の相対的関係を高い分解能で明らかにすることを目指す.
具体的に本研究では, CF (Hendriyana & Tsuji, 2021) の相互相関から計算される走時差を用いて個々に決定された震源を初期値として, Triple Difference Method (Guo & Zhang, 2016) による相対震源決定を行う. CFによって検測, 震源決定された初期震源は微動と通常地震との両者を含んでおり, 検知されたイベントの震源を個別に決定すると上盤側に広く分布していたが, 再決定によりプレート境界周辺に集まるようになったことから, 微動と地震は震源深さの上で近接していると考えられる.
さらにS-P時間から精度良く決定された通常地震をリファレンスとして相対震源決定を行うことで, 微動の震源深さの絶対値を評価できる可能性がある. そこで, PhaseNet (Zhu & Beroza, 2019) によるP, S波の読み取り値を用いて hypomh (Hirata & Matsu'ura, 1987) とhypoDD (Waldhauser & Ellsworth, 2000) により通常地震の震源を再決定したところ, それらの震源はプレート境界近傍に集中して分布しており, 上述の相対震源決定の結果を踏まえると, 通常地震と同様に微動もプレート境界付近における現象であると推測される.
今後はPhaseNetモデルによるS波の読み取り値と, 相互相関から計算されるS波走時差を連立したTriple Differenceにより, 固定した通常地震震源に対して微動震源を相対的に決定する.
一般的に通常地震はP, S波の到達時刻情報を用いて震源が決定されるため, 震源深さがよく拘束される. 一方，微動波形にはP, S波の明瞭な到達が見られないことから, 微動震源は観測点間でのS波の到達時刻差から推定されるため，震源深さの制約が原理的に難しい．これに加えて, 海底下浅部のS波速度構造が詳細に得られていないこともあり, 海域で発生する浅部微動の震源深さの信頼性は高いとは言えない. 結果としてSlow地震とFast地震の相互作用についての詳細な議論は難しいままである.
そこで本研究では, 日本海溝においては微動と通常地震が空間的に近接し, 同一の深さ範囲で発生しているといった特徴 (Nishikawa et al., 2019) を踏まえ, 精度良く決定された通常地震の震源に対する相対震源決定を行うことで，微動の震源深さの推定精度を向上させ, 通常地震と微動との相互作用の議論の上で最も本質的な両者の空間分布の相対的関係を高い分解能で明らかにすることを目指す.
具体的に本研究では, CF (Hendriyana & Tsuji, 2021) の相互相関から計算される走時差を用いて個々に決定された震源を初期値として, Triple Difference Method (Guo & Zhang, 2016) による相対震源決定を行う. CFによって検測, 震源決定された初期震源は微動と通常地震との両者を含んでおり, 検知されたイベントの震源を個別に決定すると上盤側に広く分布していたが, 再決定によりプレート境界周辺に集まるようになったことから, 微動と地震は震源深さの上で近接していると考えられる.
さらにS-P時間から精度良く決定された通常地震をリファレンスとして相対震源決定を行うことで, 微動の震源深さの絶対値を評価できる可能性がある. そこで, PhaseNet (Zhu & Beroza, 2019) によるP, S波の読み取り値を用いて hypomh (Hirata & Matsu'ura, 1987) とhypoDD (Waldhauser & Ellsworth, 2000) により通常地震の震源を再決定したところ, それらの震源はプレート境界近傍に集中して分布しており, 上述の相対震源決定の結果を踏まえると, 通常地震と同様に微動もプレート境界付近における現象であると推測される.
今後はPhaseNetモデルによるS波の読み取り値と, 相互相関から計算されるS波走時差を連立したTriple Differenceにより, 固定した通常地震震源に対して微動震源を相対的に決定する.