[S09P-01] Hypocenter determination of very-micro earthquakes in Showa-Shinzan volcano
昭和新山は1943–1945年の噴火において有珠火山の東に形成された標高約400mの火山である。最上部には溶岩ドームが露出しており、標高200m程度の屋根山と呼ばれる高台が山頂東部と北西部に存在する。Takeo et al. (2022 GJI)では、山の上及び麓に22台の短周期地震計を設置して1ヶ月の観測を行い、雑微動を用いた地震波干渉法を行った。その結果、山頂直下、東の屋根山、麓の3エリアにおいて1次元S波速度構造を推定し、山頂直下のS波速度は先行研究で重力・ミューオンを用いて推定された密度から予想されるよりも低く、内部にクラックなどが多数存在する可能性を示した。
一方、この1ヶ月の地震計記録からは予想外の地震活動も見つかっている。Takeo et al. (2020 JpGU) では、画像処理と目視により溶岩ドーム周辺でシグナル・ノイズ比の高い56イベントを選択した。エンベロープを利用した初動の自動読み取りを行い、10観測点以上で読み取りが行えた37イベントについて震源決定を行い、27イベントで山頂直下の深さ0–150 m周辺に震源が求まった。初動読み取り精度が悪く、震源が上空に求まったイベントも9イベントあった。
本研究では、この震源推定結果を改善するため、あらためて初動の手動読み取りを行った。麓ではほぼ見えなく山頂で大きい振幅傾向などから震源が溶岩ドーム内部に存在すると仮定し、使用する観測点を山頂付近及び溶岩ドーム周辺の11観測点に絞った。山頂付近とそれ以外ではS波速度構造が大きく異なることも観測点を絞った理由である。震源決定を行えた49イベントの合計読み取り数は423個である。走時残差は手動で推定した読み取り誤差で規格化し、グリッドサーチによる震源位置推定を行った。仮定するP波速度を変えて全イベント合計の走時残差を評価したところ、P波速度1.6 km/sの時に最も残差が小さくなった。全イベントにおいて溶岩ドームのほぼ内部に震源が求まり、山頂からの深さは50–250 mである。坪井式マグニチュードの推定値は-3.6から-1.6の範囲に求まり、多くのイベントで-3から-2.5であった。
震源位置の広がりについては議論の余地がある。イベントや観測点によっては初動があまり明瞭ではなく、0.05秒程度の読み取り誤差がある。P波速度から換算すると80m程度の位置推定誤差に相当する。さらに、S波到達は明瞭に見られず現時点で読み取ることができていない。ブートストラップ法によって推定した震源推定誤差は水平・鉛直方向ともに50–100 mであり、震源位置の広がりについて議論することは難しい。ただし、イベントによって初動到達の早い観測点に違いがあることから複数箇所で発生していると考えられる。
震源分布の広がりをさらに理解するため、相対震源位置決定も試みた。一般的にはイベント間の初動相対時刻差を測定してから相対位置を決定するが、本研究で対象とする地震は初動があまり明瞭ではない。そこで、全イベントペアの相互相関関数を予め計算し、絶対位置と震源発生時刻をパラメータとして相互相関係数の総和をSimulated Annealingにて最大化することを試みた。数値テストの結果は相対的な震央位置を決めることはできているが、深さの精度が改善せず、さらなる改良が必要である。震源精度改善にはS波初動時刻が必須である可能性が高く、テンプレートマッチング手法などによるイベントの検出とスタックによるS波到達の抽出なども検討する必要がある。
一方、この1ヶ月の地震計記録からは予想外の地震活動も見つかっている。Takeo et al. (2020 JpGU) では、画像処理と目視により溶岩ドーム周辺でシグナル・ノイズ比の高い56イベントを選択した。エンベロープを利用した初動の自動読み取りを行い、10観測点以上で読み取りが行えた37イベントについて震源決定を行い、27イベントで山頂直下の深さ0–150 m周辺に震源が求まった。初動読み取り精度が悪く、震源が上空に求まったイベントも9イベントあった。
本研究では、この震源推定結果を改善するため、あらためて初動の手動読み取りを行った。麓ではほぼ見えなく山頂で大きい振幅傾向などから震源が溶岩ドーム内部に存在すると仮定し、使用する観測点を山頂付近及び溶岩ドーム周辺の11観測点に絞った。山頂付近とそれ以外ではS波速度構造が大きく異なることも観測点を絞った理由である。震源決定を行えた49イベントの合計読み取り数は423個である。走時残差は手動で推定した読み取り誤差で規格化し、グリッドサーチによる震源位置推定を行った。仮定するP波速度を変えて全イベント合計の走時残差を評価したところ、P波速度1.6 km/sの時に最も残差が小さくなった。全イベントにおいて溶岩ドームのほぼ内部に震源が求まり、山頂からの深さは50–250 mである。坪井式マグニチュードの推定値は-3.6から-1.6の範囲に求まり、多くのイベントで-3から-2.5であった。
震源位置の広がりについては議論の余地がある。イベントや観測点によっては初動があまり明瞭ではなく、0.05秒程度の読み取り誤差がある。P波速度から換算すると80m程度の位置推定誤差に相当する。さらに、S波到達は明瞭に見られず現時点で読み取ることができていない。ブートストラップ法によって推定した震源推定誤差は水平・鉛直方向ともに50–100 mであり、震源位置の広がりについて議論することは難しい。ただし、イベントによって初動到達の早い観測点に違いがあることから複数箇所で発生していると考えられる。
震源分布の広がりをさらに理解するため、相対震源位置決定も試みた。一般的にはイベント間の初動相対時刻差を測定してから相対位置を決定するが、本研究で対象とする地震は初動があまり明瞭ではない。そこで、全イベントペアの相互相関関数を予め計算し、絶対位置と震源発生時刻をパラメータとして相互相関係数の総和をSimulated Annealingにて最大化することを試みた。数値テストの結果は相対的な震央位置を決めることはできているが、深さの精度が改善せず、さらなる改良が必要である。震源精度改善にはS波初動時刻が必須である可能性が高く、テンプレートマッチング手法などによるイベントの検出とスタックによるS波到達の抽出なども検討する必要がある。