The 2024 SSJ Fall Meeting

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Room D

Regular session » S10. Active faults and historical earthquakes

[S10] PM-2

Tue. Oct 22, 2024 3:15 PM - 4:15 PM Room D (Medium-sized Conference room 201 (2F))

chairperson:Takashi Ogami(Geological Survey of Japan, AIST), Junzo Ohmura(Earthquake Research Institute, University of Tokyo)

3:15 PM - 3:30 PM

[S10-07] Trial of machine learning-based hypocenter estimation using seismic intensity data – Toward the application to historical earthquakes

*Takeo ISHIBE1,2, Yoko OGAWA3, Yusuke SAIJO3, Mitsuko FURUMURA1, Ritsuko S. MATSU'URA1 (1. Association for the Development of Earthquake Prediction, 2. The Institute of Statistical Mathematics, 3. Kozo Keikaku Engineering, Inc.)

従来、計器観測時代以前に発生した顕著地震(歴史地震)の震源位置や規模は、主に史料に記述された被害や揺れの強さから推定される震度分布に基づき、推定されてきた。歴史地震の震源・規模の推定には、様々な過去地震に対する震度分布の特徴に精通した、熟練の技術が必要である。一方で、近年の人工知能の進歩は目覚ましく、地震学分野においても画像化したアナログ波形記録の読み取り(Furumura et al., 2023)や微動検出(Kaneko et al., 2021)、地震動予測の高度化(Kubo et al., 2020)、初動検測とそれによる発震機構解の推定(Uchide, 2020)など、広く活用されつつある。上記の背景の元、石辺・他(2023)では歴史地震の震源像解明に機械学習を活用することができないかと考え、中国・四国地域を対象として、機械学習を用い画像化した震度分布データ(震度分布画像)から震源位置ならびに規模の推定を試みた。その結果、モーメントマグニチュード(Mw)5.0以上の地震に対しては、概ね正しい位置に震央が推定される結果を得たが、震源を複数検出するケースが散見された。また震度は離散的な点群データであり、上記のアプローチでは、そこから震源の仮定の下で連続的な震度分布画像に補間する必要があった。そこで本研究では、画像化した震度分布の代わりに、震度点群データから直接震源情報を推定する学習モデルを構築し、その検証を実施した。学習ならびに検証に用いたデータとして、実地震については、中国・四国地域で1996年4月~2021年12月に発生した最大震度4以上を記録した35地震を対象とし、うち30地震を学習に、5地震を検証に用いた。限られた期間に発生した実地震のみを学習に用いた場合、学習データの不足が予想されるため、仮想の震源と観測点を生成し、学習データの拡張を行った。仮想震源としては、震源位置ならびに規模を乱数により発生させた405地震(Mw4.0~7.5)とした。また仮想観測点は、1997年当時の観測点密度と同程度(180(±30))になるよう無作為に配置した。各仮想観測点における観測震度は、Vs30=300m/s相当における予測震度をMatsu’ura et al. (2020) のVery Shallowタイプの式を用いて算出し、そこに一定のばらつきを付与した。このうち5地震(Mw6.0 以上)を検証用に、400地震を学習データとして用いた。震度の点群データから震源情報を推定する学習モデルを構築し、その精度評価を実施した。震度観測点情報(緯度、経度、震度等)をそのまま入力値として用いることができるよう、PointNet(Charles et al., 2017)から、移動不変性に基づいたネットワークを削除したものとした。入力は観測点N点分の緯度・経度・震度の3次元ベクトル群、出力は震源の緯度・経度・Mwの3次元ベクトル群である。本検討では、実地震のみを用いた場合/仮想震源を含めた場合、出力である緯度・経度・Mwの真値との差に対する重み付けあり/なしの場合、震度の加速度への変換あり/なし、出力を緯度・経度のみとした場合のそれぞれに対して学習モデルを構築し、その精度評価を実施した。上記の条件で学習モデルを構築し、検証用データに対して精度評価を実施したところ、仮想地震あり・重み付けあり・震度加工(加速度化)なしの場合が最も高精度となり、緯度・経度方向の平均の誤差はそれぞれ0.1°程度、Mwの誤差は-0.1程度であった。結果の一例として2016年10月21日に鳥取県中部で発生した地震に対する結果を図に示す。図中の緑丸は観測点、赤丸が震源、青が学習モデルから推定された震源であり、それぞれサイズは震度またはMwによる。震源位置ならびに規模(Mw)について、良く再現できていることが分かる。また歴史地震への適用を鑑み、学習モデルの構築時に仮想観測点数を50点ランダムにサンプリングした場合においても、推定精度に顕著な低下が見られないことが確認された。これらの結果は、近年の顕著地震ならびに仮想震源から構築した学習モデルと史資料から推定された震度データを用い、歴史地震の震源情報を推定することができる可能性を示唆する。今後は、緯度経度の範囲を拡張するとともに、出力に震源深さを加えた4次元ベクトルとした場合についても学習モデルを構築し、その検証を実施する。また、学習モデルを計器観測開始前に発生した地震に対して推定された震度分布に適用し、既往研究による震源位置ならびに規模との比較検討を実施する。

謝辞:気象庁による震度データならびに防災科学技術研究所による地震ハザードステーションにおけるVS30を使用させていただいた。ここに記して感謝申し上げます。なお本研究は、文部科学省による「地震調査研究推進本部の評価等支援事業」の一環として実施された。