4:15 PM - 4:30 PM
[S13-01] Observations of water flow at Wariishi hotspring in the Noto earthquake, Ishikawa Prefecture
割石温泉の源泉は、北緯36度21分49秒、東経137度17分4秒、標高412mの岐阜県飛騨市神岡町大字割石219番地、高原川左岸、大洞山塊を背に国道41号線の吉ヶ原橋と割石橋に囲まれた河岸段丘上にあり、跡津川断層から南へ2.6kmに位置している。1976年7月6日~1977年1月31日にかけて掘削されて、進長1300m(標高413.3m、孔底標高マイナス809m、孔底温度65℃)で、傾斜度マイナス70度、掘削の方向は西側方向255度である。掘削当初、深度852mで湧水量800L/min、温度45℃の温泉が湧出し、泉質は単純イオウ泉であり、ラドン濃度は4.9Bq/Lであった。湯量と泉温の観測は1977年3月1日から開始された。1990年に実施された割石温泉掃孔工事では、孔内の掃孔と洗浄を850mまで行った結果、崩壊の跡は見られなかった。工事後の自然湧水量及び泉温は100L/min、42℃であった。2016年2月現在も割石温泉は自噴しており、湯量は約25L/min、泉温は約41℃であり、1998年のラドン濃度は2.6±0.2Bq/Lである。割石温泉の柱状図(840~900m)によると、深度875mまでは飛騨片麻岩を主体として石灰岩の薄層を挟在(石灰岩の厚さ5m以下)、875m~1300mまでは、石灰岩を主として片麻岩を挟在している。深度870m~880mの黒雲母片麻岩帯と石灰岩帯の境界部には、石灰岩の炭酸塩岩中に花崗岩などのマグマが貫入してきた際に生成された透輝石スカルンなどが約5mの厚さで存在しおり、この帯水層から温泉が湧出している。湯量は第1期(1977年~1997年)では、毎週月曜日に源泉のバルブを開き、容量15Lのバケツに温泉が満杯になるまでの時間をストップウォッチで計測した。湯量の測定精度は±10%と推定される。第2期(1998年~2003年)では、容量式電磁流量計ADMAG-CAを源泉小屋に設置して湯量の観測を開始した。流量計の測定範囲は毎分70Lまで、測定精度毎分±0.35Lであり10分間隔で連続計測を行った。第3期(2004年~2017年)では産業技術総合研究所地震地下水研究グループと共同して、電磁流量計の湯量データを1Hzのデータ取得で実施した。第4期(2015年10月~現在)では、東濃地震科学研究所と共同して、データロガーHKS9700を用いて20Hzで観測しており、JST時刻合わせはGPSアンテナで行っている。割石温泉の湯量データは1977年~2024年の47年間にわたって記録されている。能登半島近辺の5個の地震、(1)能登半島沖1993/02/07 22:27 M6.6、(2)能登半島沖2007/03/25 09:41 M6.9、(3)石川県能登地方2020/03/13 02:18 M5.5、(4)能登半島沖2023/05/05 14:42 M6.5、(5)石川県能登地方2024/01/01 16:10 M7.6にともなう湯量変化を観測した。(5)2024/01/01石川県能登地方地震にともなう湯量変化についての解析結果について報告する。図は2024/01/01 16:10~16:20の割石温泉の湯量変化の観測データである。発表では割石温泉の湯量観測データとUSGSのMoment Rate Functionを比較し、また名古屋大学理学部旭観測点の面積歪観測データとも比較して報告する。割石温泉の震源距離は107㎞で、断層サイズ120~150㎞に比べて十分に近地であり、直接的に震源時間関数と比較できると考えた。USGS発表のMoment Rate Function(MRF)と比較してみた。湯量データはオリジンタイム16時10分22秒から5分間について30秒と60秒のHigh Pass Filter(HP)の記録を求めた。USGSのMRF記録は、最初の破壊~10秒まで、2回目の破壊~25秒まで、そして3回目のするどい立ち上がりの破壊~35秒まで(これがキラーパルスというもの)、終わりまでには50秒かかっている。時間軸を割石温泉観測点のP波到着時に合わせて、湯量データとMRF記録を比較してみた。これによれば、MRFの変動と流量のダイナミックな変動はかなりよく対応しているように見える。特に3回目のするどい立ち上がりの破壊と流量変動の大きな変動は対応することが分かった。震源距離2.5倍の名古屋大学旭観測点が最も近い歪観測点である。湯量と面積歪(面積歪はExtensionを下向き)の5分間の記録をオリジンタイムで並べて比較した。オリジンタイムから40秒~50秒の湯量の大きな変動がキラーパルスに対応すると考えられる。