The 2024 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 22nd)

Regular session » S16. Subsurface structure and its effect on ground motion

[S16P] PM-P

Tue. Oct 22, 2024 5:15 PM - 6:45 PM Room P (Main Hall (2F))

[S16P-02] Evaluation of the Osaka Basin Model Based on Ground Motion Simulation

*Haruko SEKIGUCHI1, Kimiyuki ASANO1, Tomotaka IWATA2 (1. Disaster Prevention Research Institute, Kyoto University, 2. Kyoto University)

京都盆地の深部地盤構造については、2019~2021年度に実施された文部科学省委託研究『奈良盆地東縁断層帯における重点的な調査観測』において、強震動予測の高精度化のため3次元地盤構造モデルが作成された(文部科学省研究開発局・国立大学法人京都大学防災研究所,2022)。この京都盆地の深部地盤構造モデルの地震波再現性能を検証すること、盆地の地震動応答を分析することを目的に、近傍で発生した中規模地震を対象に地震動再現シミュレーション行い、観測記録と比較した。京都盆地は、東西約10㎞南北約25㎞の堆積盆地で、大阪層群、段丘堆積物相当層、沖積層に埋積されている。盆地の地下地質および地震波速度構造については、京都市、京都府、研究機関、大学等により実施された活構造調査や地下構造調査によって集積されてきた。それらによると、堆積層の厚さは盆地中央部を北東-南西方向に延びる宇治川断層より北側では100~300m程度、南側では400~700m程度である。このような探査や各種観測によるデータを統合して、盆地の3次元地盤構造モデルが作られてきた(京都市、2005; 京都府, 2006;関口ほか,2019)。本研究で検証するモデルは、これらの過去のモデルの知見も取り入れて作られている。対象とする地震は、京都盆地の北西約15 km、深さ12.7km(気象庁一元化震源情報)で発生した2022年3月31日のMw4.2の地震で、最大震度4を亀岡市、京都市で記録している。3次元地盤構造モデルを用いた地震動シミュレーションには、差分法(Pitarka,1999)を用いた。点震源を仮定し、国立研究開発法人防災科学技術研究所のF-netによるメカニズム解と、岩盤観測点の記録のパルス幅より見積もった継続時間0.4秒の震源時間関数(スムーズドランプ関数)を与えた。最小S波速度は350m/sまで考慮し、堆積層中のグリッド間隔を25mとして、2Hzまでを有効周波数とした。堆積層のQ値には、発表者らが大阪府北部の地震の再現シミュレーションにより同定した、1~2Hzで0.15Vsという値を用いた。計算結果を、国立研究開発法人防災科学技術研究所の強震観測網(K-NET)及び基盤強震観測網(KiK-net)、大阪府、京都府および京都市の震度情報ネットワークシステム、関西地震観測研究協議会、京都大学防災研究所の強震記録と比較・検討した。観測記録が得られた地点の半数弱で、振幅レベル、後続波の波束の到来時刻などにおいて整合的であることが確認されたため、後続波の生成・伝播も含め、盆地の応答の凡そは当該モデルにより再現されていると考えられる。計算波動場の時空間分布を見ると、京都盆地の地震動応答は、直達波の後、基盤岩上面と地表面間の多重反射、盆地縁部で発生する表面波が、狭い盆地内を交差し、複雑な様相を呈することがわかった。盆地縁の形状は出入りが多く複雑であり、盆地縁で発生した表面波が強め合う尾根が、盆地縁の屈曲部を始点として形成されている。一方、計算波形が大幅な過大評価・過小評価の地点もあるが、そのような地点は基盤岩深度が100m程度未満の地域や盆地縁や断層による基盤岩の段差構造の近傍に多く、堆積層の厚さや盆地縁の位置や形状のモデル化誤差による影響が大きく表れやすい場所であることがうかがえる。今後、個々の観測点の観測波形と計算波形の違いの原因の考察を進め、地盤構造モデルの修正量の定量化につなげたいと考えている。

謝辞:国立研究開発法人防災科学技術研究所、大阪府、京都府、京都市、関西地震観測研究協議会、京都大学防災研究所の強震波形記録を使用しました。感謝申し上げます。