[S16P-06] Detecting irregularities in subsurface structures by using anisotropy in microtremor H/V spectral ratios at Kannonzaki Park
本研究では、神奈川県立観音崎公園の西側において常時微動観測を実施し、微動H/Vスペクトル比の異方性を用いた解析により表層地盤の不整形性について簡易的な検出を試みた。観音崎公園は三浦半島の南東端に位置し、標高70m程度の高台から海岸付近までの高低差がある。観音崎公園の地層は、高台側から海側にかけて小原台砂礫層、走水礫部層、逗子層主部と変化している。2023年10月25日と10月30日に観音崎公園の西側において観測点間隔10m、50地点の測線長490mの常時微動観測を実施した。観測装置にはJU410（白山工業）５台を用いた。観測点ごとに200Hzサンプリングで15分間の３成分の常時微動を観測した。観測した水平2成分の記録を回転させ方位別のH/Vスペクトル比を求めてから、直交する２方向のH/Vスペクトル比の比から異方性強度と異方性強度が最大となる方位を解析した。仮に測線の下の構造が単純な水平成層構造であれば測線上の各観測点のH/Vスペクトル比の異方性はないが、層の傾斜、段差構造、地層の境界などの水平方向の不整形性があるとH/Vスペクトル比の異方性が生じる。単点のH/Vスペクトル比のみの情報では地下構造の不整形性を捉えることは難しいが、観測点間隔を十分に小さくした測線での観測での異方性強度と異方性強度の測線方向の空間変化から、異方性の要因となる地下構造の不整形性の有無やその位置を簡易的に検出できる可能性がある。観音崎公園の西側における常時微動観測での異方性強度と異方性強度の測線方向の空間変化から、小原台砂礫層と走水礫部層、走水礫部層と逗子層主部のそれぞれの地層の境界の存在および位置の簡易的な検出ができた。