日本地震学会2024年度秋季大会

講演情報

D会場

一般セッション » S19. 地震一般・その他

[S19] AM-2

2024年10月21日(月) 10:30 〜 11:15 D会場 (2階中会議室201)

座長:山田 真澄(京都大学防災研究所)、野 徹雄(海洋研究開発機構)

10:45 〜 11:00

[S19-02] 能登半島東方沖での反射法地震探査データから確認された海水中の強反射面

*野 徹雄1、大塚 宏徳2、八田 真理子3、千手 智晴4、三澤 文慶5、孫 岳6、山川 登6、呂 玉琪6、朴 進午6 (1. 海洋研究開発機構海域地震火山部門、2. 神戸大学海洋底探査センター、3. 海洋研究開発機構地球環境部門、4. 九州大学応用力学研究所、5. 産業技術総合研究所地質調査総合センター、6. 東京大学大気海洋研究所)

反射法地震探査は、地下の堆積層や地殻の構造を探るための観測手法として通常用いられ、海洋で実施された場合は海水中のデータを通常ノイズとして除去される。一方で、Seismic oceanographyとよばれる研究においては、その海水中のデータを用いて、反射法地震探査的な解析を行うことによって、海中をイメージングし、渦形成、内部波、乱流混合などの様々な海洋現象の研究に応用されている(e.g. Dickinson and Gunn, 2022, frontiers)。また、海底まで達している断層近傍で反射法地震探査を行った場合は、断層付近からの流体の放出が示唆される海中のイメージが得られているケースも報告されている(e.g. Tsuru et al. 2020, EPS)。
2024年1月1日に発生した能登半島地震は地形の変位も認められ、津波も発生していることから、地震断層が海底まで達している箇所も多いことが示唆される。そのため、仮に断層に沿った流体の移動が海底まで達していれば、断層近傍の海水中における反射法地震探査のイメージングに何らかの変化が生じている可能性も考えられる。そこで、地震発生後の2024年3月に白鳳丸による第三次緊急調査航海で実施された反射法地震探査(朴・他, 2024, JpGU; 朴・他, 2024, 本学会)のデータを用いて、震源域を含む能登半島東方沖の海水中のデータについて解析を行った。解析では、緊急航海で実施されたCTD観測やXCTD観測(朴・他, 2024, JpGU; 尾鼻・他, 2024, JpGU)の結果を参考に速度を仮定して、NMO補正やマイグレーションを行った。
その結果、探査測線下で推定されている断層付近において、現時点で海水中の変化は見つけることができていないが、測線の東側に位置している富山トラフ上の海面下200 m付近に非常に明瞭で直線状の反射面がイメージされた。この反射面について、探査測線近傍で実施されたCTD観測の結果と比較してみると、温度躍層及び密度躍層の位置に対応しているようにみえる。先行研究(e.g. 八田・他, 2005, 地球化学)を参照すると、その躍層は対馬暖流水と日本海固有水の遷移域に位置し、その領域に反射面がイメージされていると推定される。さらに、CTD観測で得られた速度・密度の値を参考に有限差分法による簡易的なモデリング(Kelly et al., 1976, Geophys.)を行った結果、強反射面の近い水深に反射面が得られるので、躍層が強反射面の形成に関与している可能性が高い。また、この反射面の位相は海底面の反射面と比べると反転しているように見える特徴もあるが、CTD観測の結果をみると、この遷移域を境に密度は下層へ向けて増加するが、速度は下層へ向けて低下するので、この速度の低下が位相の反転に影響しているとみられる。さらに、反射面の振幅が測線間で変化し、測線交点で反射面が合わないという特徴もあるが、それらは探査測線の領域における躍層の時空間の変化による影響の可能性が考えられる。