[S21P-09] Establishment and Result of Local Model through Transfer Learning of Deep Learning Detectors Using AN-net Data in Nagaoka Region
近年、地球温暖化の最大の要因として、大気中のCO2濃度上昇問題がある。CO2濃度を削減する1つの有効な手段としてCarbon Capture and Storage(CCS)が期待されている。CCSを推進する上で、CO2圧入による地震のリスク対策のため、常時微小地震観測と地震震源位置やマグニチュードの解析結果に基づくTraffic Light System(TLS)の構築と運用が想定される。現状の手法(地震イベントのマニュアル検測)でモニタリングや解析を行う場合、特に、小さな規模の地震を見逃す可能性があり、TLSを効果的に運用するためには、地震観測および解析精度のさらなる向上が望まれる。また、CCSは長期にわたる事業であり、マニュアル検測に要するマンパワーが大きな課題となることが想定されることから、可能な限り人力での解析を排し、自動化を推進し、低コストで運用可能な体制を構築する必要がある。上記両面において、機械学習を活用した自動地震イベントの検知や震源解析が有効なアプローチとなることが期待される。機械学習を導入することで、微小地震観測・解析の精度向上が期待され、従来と同様の観測網デザインであっても、従来以上の地震検知限界の達成や、従来観測点数よりも少ない観測点で従来精度を維持できる可能性もある。この可能性を検証すべく、長岡地域のAN-netデータを使用して、既存の深層学習検測器の転移学習を行い、その精度について評価した。SeisBenchに収められているPhaseNet(Zhu and Beroza, 2019)やEQTransformer(Mousavi et al., 2020)などの深層学習検測器は、日本国外のデータを用いた訓練済みのモデルが公開されている。同モデルを国内のデータに使用した場合でも一定以上のパフォーマンスは発揮するが、実際に使用するデータを用いて再学習や転移学習すれば、より高いパフォーマンスを発揮されることが報告されている(Kim et al., 2023)。そこで本研究では長岡地域にあるAN-netの検測値をもとに、広く利用されているPhaseNetの転移学習を実施し、検測値と比較した。訓練には2021年6月から2022年12月まで1.5年分のデータおよびマニュアル検測値情報を用いた。本期間中4047イベントが使用可能で、このうち80%を訓練データ、20%を検証データとして使用した。上記の方法でAN-netの検測値と波形をもとに訓練したローカルモデルに対してPrecision-recall curve作成して、性能を評価したところ、性能が向上したことが確認された。また、走時残差分布からは、AN-netの検測値に比べて、少し後方を読む傾向が見られた。 謝辞 本研究では公益財団法人 地震予知総合研究振興会の地震観測網AN-netのデータとその検測値を使用した。