09:15 〜 09:30
[S22-20] 2024年能登半島地震による新潟および佐渡沿岸の津波を説明するための津波源に関する検討
2024年1月1日に発生した能登半島地震による津波は日本海沿岸に大きな影響を与えた.この津波のうち,新潟沿岸ではおおむね2 m以下であったが,上越周辺で5 m以上(Yuhi et al., 2024),佐渡島南西岸で2.3 m(行谷・他,2024)であった.このような津波の局所的な増幅は,津波観測や地殻変動から推定された波源断層モデル(例えば,Fujii & Satake, 2024) では説明は難しい.この局所的な津波増幅の原因のひとつとして,海底地すべりなどによる副次的な津波波源の可能性が考えられる.本研究では,新潟県上越や佐渡南西沿岸における津波高増幅の素因を明らかにするため,波源断層モデルと海底地すべりの影響を考慮した津波数値解析を行い,海底地すべりの発生位置やその規模について検討を行う.
津波数値解析は,柳澤・他(2014)の海底地すべりモデルをJAGURS(Baba et al., 2019)に組み込み実施した.海底地形モデルは野・他(2016)を用い,空間格子は6秒角とした.断層モデルは『日本海における大規模地震に関する調査検討会』(国土交通省,2016)のF43を基礎として,余震分布(産総研,2024;地震研,2024)を参考に修正した.海底地すべり条件としては10 km2の正方土塊を想定し,その層厚は10 mとした.海底地すべりの発生位置は能登半島珠洲沖の富山盆地西斜面上の水深500 m等深線に沿っておおよそ5 kmごとに18カ所に設定し数値解析を実施した.
修正したF43の波源断層モデルによる津波計算波形は,直江津の観測波形を再現することはできないことや,新潟沿岸や佐渡沿岸における最大浸水高分布が過小評価となることがわかった.本研究で用いた波源断層モデルに加えて,副次的な波源として海底地すべりを発生させた数値解析を実施した.37.7°N,137.5°Eの位置で海底地すべりが発生した場合,直江津の観測波形をおおむね再現することができ,新潟沿岸や佐渡沿岸における最大浸水高分布についても良好に再現性できることがわかった.これまでの当該地震に関する海域調査において,珠洲~佐渡沖における明確な海底地すべり痕は未だ見出されていない.しかし,本研究結果は副次的な津波波源の可能性として37.7°N,137.5°Eの位置での海底地すべりの可能性を示唆する.
津波数値解析は,柳澤・他(2014)の海底地すべりモデルをJAGURS(Baba et al., 2019)に組み込み実施した.海底地形モデルは野・他(2016)を用い,空間格子は6秒角とした.断層モデルは『日本海における大規模地震に関する調査検討会』(国土交通省,2016)のF43を基礎として,余震分布(産総研,2024;地震研,2024)を参考に修正した.海底地すべり条件としては10 km2の正方土塊を想定し,その層厚は10 mとした.海底地すべりの発生位置は能登半島珠洲沖の富山盆地西斜面上の水深500 m等深線に沿っておおよそ5 kmごとに18カ所に設定し数値解析を実施した.
修正したF43の波源断層モデルによる津波計算波形は,直江津の観測波形を再現することはできないことや,新潟沿岸や佐渡沿岸における最大浸水高分布が過小評価となることがわかった.本研究で用いた波源断層モデルに加えて,副次的な波源として海底地すべりを発生させた数値解析を実施した.37.7°N,137.5°Eの位置で海底地すべりが発生した場合,直江津の観測波形をおおむね再現することができ,新潟沿岸や佐渡沿岸における最大浸水高分布についても良好に再現性できることがわかった.これまでの当該地震に関する海域調査において,珠洲~佐渡沖における明確な海底地すべり痕は未だ見出されていない.しかし,本研究結果は副次的な津波波源の可能性として37.7°N,137.5°Eの位置での海底地すべりの可能性を示唆する.